興味深い意識調査を教えてもらいました。日本損害保険協会協会が、2012年に行った保険金請求に関する消費者の意識調査です。
事故を偽装するなどの保険金不正請求については、8割以上の人が「絶対に許されない」としています。ところが、「友人から長く通院した方が慰謝料を多くもらえると言われたので、痛くなくても通院する」(46%)、「自動車を壁にぶつけた際、前からあった別の擦りキズについても今回の事故によるものと言って修理代を保険請求する」(47%)といった、事故に便乗して過大に請求する行為については、「絶対に許されない」と考える人の割合は5割弱になり、1割くらいの人は「場合によっては許される」と考えています。そしてこれらは、「噛んだガムをそのまま路上に捨てる」(絶対に許されない62%)や、「公園の花壇に植えてある花がきれいなので、抜いて持って帰った」(53%)といったことよりも、軽く考えられているのです。
日本人って、案外「ずるい人たち」なのですね。さらに、これは意識調査ですから、実際の行動より「正義らしく」答えている可能性もあります。
月別アーカイブ: 2016年11月
陸地が正しく表示される世界地図
オーサグラフって、ご存じですか。陸地の面積比と形状をほぼ正確に表記し、かつ海を分割することなく矩形の平面に収めた世界地図です。
これは優れものですね。ふだん見慣れている世界地図は、東西と南北は正しいのですが、面積が北に行くほど広くなっています。この地図だと、カナダがアメリカに比べてそんなに大きくなく、グリーンランドもオーストラリアより小さいことがわかります。もっとも、東西南北や海の広さが不正確になります。
グローバル化への反乱、シュトレークさん
11月22日の朝日新聞オピニオン欄、ヴォルフガング・シュトレーク(ドイツの社会学者)さんの「グローバル化への反乱。自由市場の拡大、成長阻む格差生み国家は形骸化」から。
・・・私たちが目にしてきた形のグローバル化が、終わりを迎えようとしているのかもしれません。自由貿易協定も、開かれすぎた国境も、過去のものとなるでしょう。
米大統領選はグローバル化の敗者による反乱でした。国を開くことが、特定のエリートだけでなく全体の利益になるというイデオロギーへの反乱です。そのような敗者たちはさげすまれ、政治からいずれ離れるというエリートたちの楽観は、一気にしぼみました・・・格差の広がりは、自由市場の拡大がもたらした当然の結果です。国際競争で生き残る、という旗印のもと、それぞれの国家は市場に従属するようになりました。政府が労働者や産業を守ることが難しくなったのです・・・
・・・低成長を放置すれば、分配をめぐる衝突に発展しかねません。それを回避し、人々を黙らせておくために、様々なマネーの魔法によって「時間かせぎ」をしてきた、というのが私の見方です。
分水嶺が70年代でした。まずはインフレで見かけの所得を増やしました。それが80年ごろに行き詰まると、政府債務を膨らませてしのいだ。財政再建が求められた90年代以降は、家計に借金を負わせました。その末路が2008年の金融危機です。今は中央銀行によるマネーの供給に頼りきりです。いずれも、先駆けたのは米国でした。「時間かせぎ」の間に、危機は深刻さを増しています。
大きな傾向は日米欧とも同じですが、停滞を真っ先に経験したのが日本でした。日本では長期雇用と年功賃金制が社会の安定の源でした。80年代以降、企業が競争力を失っても、政府の支えのもと銀行が融資を続けたのは、長期雇用に手をつけて「内戦」になるのを避けるためです。その結果が不良債権問題であり、長期停滞です。賃金は上がらず、非正規雇用へのシフトが進みました・・・
ごく一部を紹介しました。原文をお読みください。
明るい公務員講座・中級編6
『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」第6回「事務の管理(3)添削する」が発行されました。部下が作ってきた資料に目を通し、ダメなときは手を入れる。これも、課長の重要な仕事です。
でも、難しいですよね。部下が一生懸命作ってきた資料に、朱を入れるのは気が引けます。きつく言うと、部下が折れてしまうし。でも、ひどい内容の資料を上司に出したら、課長であるあなたの評価が下がります。他方、部下からすると、手を入れてもらって良い資料になることは、そんなに不満ではありません。困るのは、「てにをは」などつまらないことに熱心に手を入れて、全体を見てくれない上司。さらには、部長の前でその資料を守ってくれない課長です。今回の内容は、次の通り。
市長の目や市民の目で読む、部下と違う角度で見る、悪魔の代理人、ばらつきを統一する、危ないと子を叱るより手を引こう。
新聞への信頼の低下、アメリカ大統領選挙
11月15日の朝日新聞国際欄「旧来メディア 問われる役割」の続きです。今回は新聞についてです。
・・・全米の新聞は、圧倒的に「反トランプ」だった。だが既存政治に不満を抱える有権者には響かなかった。
米国では新聞社が社説で候補を推薦する伝統がある。カリフォルニア大学サンタバーバラ校のまとめによると、全米で部数が最も多い100紙のうち、57がクリントン氏を推したのに対し、トランプ氏は2紙だけ。リバタリアン党のジョンソン氏を推薦した4紙よりも少なかった・・・
・・・経営不振が続く米メディアの構造的な問題もある。
メディア研究などを手がける、ハーバード大学のショレスタイン・センターのニッコ・ミリ所長は10日にウエッブサイトで、米メディアの記者のうち5人に1人がニューヨーク、ワシントン、ロサンゼルスの3都市に勤務していると指摘した。対照的に、50州中21州では連邦議会を専門に担当している記者を置く新聞が1紙もないという。
記者が暮らしの現場から離れる一方、数多くの州では政府で何が行われているのか、市民が知る方法がなくなっているとの分析だ。
大手メディアの本社は大都市部に集中する。トランプ支持者の「エリート」「エスタブリッシュメント(既得権層)」批判は、メディアにも重ねられた。
ギャラップ社の今年の調査によると、「メディアを信用する」と答えた人は過去最低の水準で、特に共和党支持者では14%に急落した・・・
原文をお読みください。