宇野重規編『リーディングス戦後日本の思想水脈3 民主主義と市民社会』(2016年、岩波書店)を紹介します。このシリーズは、戦後日本の思想を、名著名作のアンソロジー(選集)でたどるものです。集められた論文は、それぞれの時代を切り取り、また後世に与えた影響において、読み直す価値があります。また、宇野先生がどのような考えでこれらを選ばれたか、それも勉強になります。
お勧めは、巻末についている、宇野先生による解説「民主主義と市民社会の模索」(p279~p321)です。実は、私はこの部分しか読んでいない、ここを読むために買ったのですが。
日本人が、戦後改革で受け取った民主主義をどのように考え、育ててきたかがよくわかります。そして、識者が考えた理想的な民主主義や市民社会像と、現実とが違ったことも。見出しは次のようになっています。
Ⅰ敗戦からの再出発、Ⅱ民主主義の諸構想、Ⅲ大衆と市民社会、Ⅳ戦後民主主義の問い直し、Ⅴ新たな民主社会像を求めて、Ⅵ政治空間の行方。(2016年10月22日)