朝日新聞8月27日のオピニオン欄は、シルビー・ブリュネルさん・パリ大学教授の「アフリカのいまと未来」でした。
「アフリカは遅れてきた分、格差も少ないと思っていました」との問に。
・・・実際には、アフリカ諸国は1960年代に独立した際、都市や産業化にばかり関心を抱いて、田舎をほったらかしにしてきたのです。その路線は成功しそうに見えました。アフリカは輝かしい可能性に包まれていたのです。「世界のお荷物」となるのはむしろアジアだと、当時は思われました。
幼児死亡率や平均寿命、1人あたり国民総生産(当時)などの指標を総合した場合、70年代に西アフリカのコートジボワールは韓国と、ナイジェリアはインドネシアと、ほぼ同レベルでした。冷戦の影響から韓国は発展せず、コートジボワールこそ希望が持てると世界銀行などは考えていました。
ただ、その冷戦の最前線にいたことこそが、アジアに発展をもたらしたのです。ソ連や中国と向き合った日米は、資本主義社会の結束を強めようと、韓国や台湾、東南アジア諸国に積極的に投資して発展を促しました。貧困の中にあったアジア各国も上昇への道を学び、労働力を改善し、新興産業国から新興国、先進国へと、わずか1世代の間に成長できたのです。特に韓国は、日本の経験から多くを学びました・・・
・・・民主主義の基本は、一人ひとりが平等な1票を持ち、自由に投票できることです。でも、アフリカでは肌の色や出身地域、性別や家族内の役割などで、自らの地位や行動が決まります。極めて不平等な社会で、51%が49%に勝つ西洋型民主主義の原則をここに適用するには、無理があります。
植民地支配から独立したアフリカ諸国は、民主主義を一度も経験しないまま国家を建設せざるを得ませんでした。その結果、強権的な政治が確立され、メディア支配や野党への脅迫が常態化し、選挙が骨抜きにされました。民主主義の名に値する選挙を実施している国はほとんどありません・・・
・・・アフリカで機能するのは、むしろ「長談義」のシステムでしょう。話し合いを延々と続けながらコンセンサスを形成する政治です。
国内のすべての政党や政治勢力、すべての民族がテーブルを囲んで議論をする。時間の制限を設けず、みんなが受け入れられる結論が出るまで話し合う。これが「長談義」です。選挙とは異なる方法です・・・
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