日経新聞経済教室8月9日は、岩井克人教授の「問われる資本主義 株主主権論の誤りを正せ」でした。先生の主張は原文を読んでいただくとして、そこに載っている2つの図がわかりやすく、勉強になります。
図の1つは、上位1%の所得階層の所得が国全体の所得に占める割合を、アメリカ、イギリス、フランス、日本、スウェーデンについて、100年間にわたってグラフにしたものです。これは、有名になったピケティ教授の「21世紀の資本」が使ったデータを基にしたそうです。
第1次大戦直後は、どの国も極端な格差社会で、上位1%の人が全体の20%もの所得を手にしていました。その後、世界恐慌、第2次大戦を経て、格差が急速に縮小し、所得割合は5~10%くらいになります。ところが、1980年代以降再び格差が広がります。スウェーデン、日本、フランスはさほどではないのですが、アメリカとイギリスはすごいです。
図の2つめは、アメリカの上位1%の所得割合の内訳を、資本所得、企業家所得、賃金所得に分解したものです。資本所得は余り増えず、最も大きく増えているのは賃金所得なのです。経営者の報酬は、平均的労働者の報酬に対し、1960年代は25倍でしたが、近年ではなんと350倍になっています150億円という経営者もいるそうです。想像を絶しますね。
先生は、ここから「株主主権論の間違い」を解説しておられます。そこは本文をお読みください。
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お盆休み
お盆の休日、12日を休むと4連休ですね。15日16日もお休みの方もおられるでしょう。皆さんそれぞれに、楽しい夏休みをお過ごしでしょう。暑い夏の日が続いていますが、東京の朝はそれほどでもなくなりましたね。
私はカレンダー通りに出勤し、土曜日も飯舘村に行ってきました。「お盆の土曜日に出張ですか。大変ですね」と聞いてくださる人がありますが、人に会うのが仕事ですからね。
連載中級編の準備
連載は初級編35回を書き終えたのですが、編集長にそそのかされて、続編である中級編(管理職編)の準備を始めました。全体の構成をどうするか。これが一番難しいです。書きたいことはいろいろあるのですが、どのように配列するかが難しいのです。書いてみないと、つながりの良さや、分量がわかりません。
既に、章立てをして、節と小見出しも案は作ってあるのですが。実際に文章を書いてみると、分量が多すぎたり少なすぎたりして、すわりが良くないことがあります。小見出しをあっちへ持っていったり、こちらに戻したり。そのたびに、節の名前も変わるし、考えたよい見出しが没になるし。残念ですが、せっかく書いた文章をばっさり削除したり。まあ、それは仕方がないので、ある程度の見込みを立てて、書き始めます。
初級編も、去年の夏に準備を始めたときは、35回も続く連載になるとは思ってもいませんでした。さて、中級編はどうなりますか。
独創的開発とプロジェクトの管理
読売新聞8月5日の解説欄、米本浩一・九州工業大学教授の「衛星開発の管理体制を強化」から。宇宙観測衛星のいくつかの失敗を取り上げたあと。
・・・背景には、衛星や探査機が大型化して巨大プロジェクトになっているのに、それに見合う管理や運営が行われていないことがある。
JAXAの宇宙科学研究所の源流は、1955年に長さ約20センチのペンシルロケットを発射した東大の研究所にある。以来、研究者の自由で独創的な発想でプロジェクトを進めてきた。
ただ、研究者はモノ作りや品質を管理したりする面が弱い。それを製造企業が先回りして助け、両者が一体となってやってきた。その際、契約をいちいち交わさず、担当者間の口約束ですませるなど、小回りのきくやり方が採られた。
衛星や探査機が小規模だった時は、このやり方がうまくいった。だが、大きくなるにつれて、歯車がきちんと回らなくなった。契約を交わし、互いに確認しながら進める必要がある・・・
企業の社会貢献、オリンピック・パラリンピック等経済界協議会
リオデジャネイロで、オリンピックが始まりました。日本選手の活躍が続いています。すごいですね、世界の頂点に立つのは。彼ら彼女らは、それだけの練習を積んでいるのです。
東京大会まであと4年です。経団連を中心に経済界が、東京オリンピック・パラリンピックを機に、さまざまな社会貢献に取り組んでくださっています「オリンピック・パラリンピック等経済界協議会」です(2016年4月15日の記事)。
そのホームページができました。「オリンピック・パラリンピック等経済界協議会」。さすが、わかりやすく内容の濃いサイトですね。
詳しくはそのページを見ていただくとして、ここでは東北復興に関する部分を紹介します。
ソフトレガシー(文化・ムーブメント)の中に6つのテーマがあり、その1つが「東北発次世代育成サポート」です。
野村ホールディングスと三井住友ファイナンシャルグループが幹事社となり、参加企業とともに、次のような活動をしてくださいます。一過性のイベントではなく、人を育てるという地道ですが後に残る重要な課題に取り組んでくださっています。
①小中校生向け社会教育
②東北での就職支援・職業体験
③東北地方の中小事業者や起業家へのノウハウ支援
④ビジネスコンテスト・ビジネスマッチング等への参加
⑤東北の地産品販売や情報発信
⑥交流人口拡大に向けたおもてなし人材育成
事業者支援や講師派遣で、いくつかのプログラムが始まっています。
これは「お得なプログラム」です。日本を代表する企業が、専門分野で応援してくれるのです。ふだんは、自治体や学校では、企業がどのような支援をしてくれるか、わからないでしょう。これらのプログラムに参加するか、あるいは企画を検討中ならお問い合わせください。
学校なら、第一線の企業で活躍する人たちの講義や職場見学は、役に立つと思いますよ。