明るい公務員講座第32回

連載「明るい公務員講座」第32回、「仕事だけでは駄目」が発行されました。第2章自分を磨こう、4「人生に貴賤はある」の第5回目です。前号までが家庭人についてでしたが、今回から「社会人として」に入ります。ばりばりと仕事をすることは良いことですが、家庭も地域での付き合いも、趣味もない仕事人間では、良い公務員になれません。今回も、私の反省を込めての教えです。内容は次の通り。
新説アリとキリギリス、仕事だけでは駄目、服装が表すあなたの生活、地域での役割。

社会学

ジグムンド・バウマン、ティム・メイ著「社会学の考え方」(邦訳2016年、ちくま学芸文庫)を読みました。山本泰先生の最終講義に出て、社会学は社会をどのように見て、どのように説明しているのか、改めて勉強したくなったのです。ピーター・バーガー著「退屈させずに世界を説明する方法」(邦訳、新版2015年、新曜社)や、同「社会学への招待」(邦訳、新版2007年、新思索社)も読みました。寝床で読み続けている本も他に数冊あります。
大学時代には、マックス・ヴェーバーの没価値性(いまは価値自由と言うようです)や、カール・マンハイムの存在被拘束性を聞いて、なるほどと思いつつ、「そんなもんかいな」としか思いませんでした。
社会学の各論は、その後それぞれに触れたのですが、社会学の考え方・全体像を再確認したかったのです。寝ながら読むには、ふさわしくないのですが(反省)。
読んでみて、驚くような「新事実」はなかったです。私のふだんのものの見方が間違っていないと、自信がつきました。また、専門家は「このように考え方や、課題と分析を整理するのだ」とわかりました。門外漢が知りたいのは、その分野の地図です。まあ、教科書風に概説し詰め込むと、抽象的にならざるを得ないのでしょうが。
本を読んで、知らないことを得ることも、楽しみであり重要ですが、知っていることの再確認、あるいは専門家による整理を確認するのも、重要です。

8月21日

8月も下旬になりました。早いものですね。暑い日が続いています。台風が3つも続いてきて、豪雨の被害も出ています。被害が大きくならないことを祈っています。
リオのオリンピックで日本選手の活躍が続き、甲子園が終わりました。私の週末は、いつもと同じです。雨の日だと、孫を公園に連れて行けないので、家で時間をつぶすのは、これまた大変です。連載の原稿は、構成に悩み、試行錯誤しています。水のシャワーは気持ちよく、書斎では辛抱しきれずに冷房を弱めに効かせて、呻吟しています。
本屋に行くと、読みたくなる本がたくさん、誘ってくれます。買うのは良いのですが、読まずにたまるので困ったものです。「時間が足りない」と嘆くのですが、それは「好奇心の多さに、時間が追いつかない」と言った方が正確ですかね。何をあきらめるか。まだまだ解脱できません。

テロ報道がテロリストを助長する?

8月20日の朝日新聞が、「テロ容疑者 どう報道するか」として、次のようなことを伝えています。
・・・テロ事件が相次いでいるフランスで、容疑者の写真や名前の報道をやめるメディアが相次いでいる。プロパガンダの映像や宣伝文句を取り上げる際に十分な注意をはらうことに加えての対応だ。一方で、写真などの掲載の重要性を改めて表明したメディアもある・・・
・・・報道がテロ集団のメッセージを広め、結果的に彼らを利しているのではないか、との議論も起きた。
ルモンド紙は身分証の写真などに限って掲載することにした。笑顔を浮かべたような写真を広く報じることは「聖戦に命をかけた」などと英雄視に利用される可能性があるためだ。ラジオのヨーロッパ1は「名前も報じない」と決めた・・・
考えさせられる事例ですね。社会に大きな影響を与えた事件は、事実を詳しく伝えるべきですが、それが犯罪者を利することになっては問題です。正解はなく、みんなで試行錯誤しながら「結論」を見いだすのでしょう。

アメリカの反知性主義

朝日新聞8月18日オピニオン欄、アメリカ外交問題評議会上級研究員、マックス・ブートさんの「米共和党 愚かな党のふり、現実に」から。
・・・1950年代には、民主党の大統領候補だったスティーブンソンは「エッグヘッド(はげ頭の知性派)」、共和党の大統領候補だったアイゼンハワーは「まぬけ」、という図式が定着した。この見方は、リチャード・ホーフスタッターの「アメリカの反知性主義」でお墨付きを得た。
民主党は米国の知性派の代弁者だという印象が固まるなかで、共和党員は、政治目的のために、反知性のレッテルを受け入れた。だが、少なくとも最近まで、それは、見せかけのものだった。アイゼンハワーは安全保障問題に比類なき知識を持ち、レーガンは無能な役者に見えて、何十年も公共政策を磨き、演説原稿を自分で書き続けた。ニクソンはキッシンジャーらハーバード大学教授に内外の政策を託した。
レーガン政権時代、共和党は、アメリカンエンタープライズ研究所やヘリテージ財団のような保守系シンクタンク、ウォールストリート・ジャーナル紙、コメンタリー誌などを効果的に活用し、「政策政党」として知られるようになった。
だが、共和党と政策分野のつながりは徐々に弱まっている。かつてはアービング・クリストルやジョージ・ウィルなどの思想家が果たしていた役割を、ラジオトーク番組の司会者やテレビタレントが担うようになった。見境なく、軽率で、すべてを消耗させる怒りの感情が真っ先に漂うようになった・・・