読売新聞6月19日、解説欄、ブレンダン・シムス(イギリスケンブリッジ大学教授)の「緩慢な統合 欧州の過ち」から。
・・・今のEUはドイツが支配的だ。そのありようは神聖ローマ帝国(962年~1806年)に似ている。この帝国は国々の緩やかな集合体で、政策決定の基本は合意の形成だった。帝国の最高裁判所が法治に目を光らせた。このはるか昔のドイツ流の政治文化をEUは継承したとも言える。
問題は合意形成に時間を要し、喫緊の課題に迅速に対処できないこと。実はアメリカは神聖ローマ帝国も国造りのモデルとして検討したが、決定に時間がかかり過ぎ、統治形態は複雑過ぎ、採用すれば国は滅びるとして退けた経緯がある・・・