連載「明るい公務員講座」の第21回(5月16日号)が発行されました。今回は「やってみよ―職場の技能を磨く」の第4回目で、「書く技術」です。説明資料の作り方は、連載第6回と7回で説明しました。今回は、書く技術を上達させる方法です。いくつか注意点を示しましたが、なんと言っても、回数をこなすこと、そして前例のないような難しい文書を書くことが、上達の秘訣です。運動をするときも、練習せずして上達しません。そして、負荷をかけない運動は、なんの効果もありません。今回の内容は次の通り。
書くことは勉強、1枚にまとめることで頭が整理できる、相手の立場に立った文章、図表の使い方、メモ取りは難しい。
「やってみよ―職場の技能を磨く」は、あと2回続きます。その次は、第2章第3節「人は外見で判断される―身だしなみ」に入ります。原稿は粗々書き上げ、右筆と右筆補佐に手を入れてもらっています。
日にちが経つのは早く、次々と締めきりが追いかけてきます。困ったものです(苦笑)。
月別アーカイブ: 2016年5月
民間との協働
復興庁では、「新しい東北」情報発信事業の公募を開始しました。
担当職員によると、この事業の主眼は、「風化対策や風評払拭も念頭に、民間ならではの創意工夫とコラボすることで、行政や役所的でない、情報の発信を行いたい、そのために、民間の自由な提案を募集する」というものです。
このホームページでも書いていますが、復興庁では、行政だけではできない復興を、民間の力と協働して成し遂げようとしています。それは、企業、NPO、地域コミュニティです。資料を見ていただくとわかるように、テーマは、緑、食、技、旅、町に絞っています。昨年の実績もご覧ください。
「行政がここまでするの?」という質問も、聞きます。しかし、行政と民間とを截然と区別するのは、場面によって不合理です。もちろん、変に癒着してはいけません。また、行政の補助金を目当てに企業が寄ってくるのも、良くないです。
民間だけではできない、行政だけではできない分野で、それぞれの長所を生かして、対等に協力する。私は、これが、これからの日本の課題を解決する一つの手法だと考えています。そして、復興においても実践してきました。最近は、私が言わなくても、このように職員が知恵を出してくれます。詳しくは、拙著「復興が日本を変える」を、お読みください。
NPO法人の第三者評価
非営利組織評価センターという組織があります。公益法人の制度改革が行われ、またNPO法人制度が普及したことで、NPO法人や一般財団法人、一般社団法人の設立が簡単になりました。かつては、役所の許可が必要だったのです。ところが、誰でも簡単に設立できるようになると、玉石混淆になります。しっかりした法人なのか、そうでないのか。外部の人にはわからないのです。それでは信用も築かれず、法人にとっても困ったことになります。株式会社なら、株が市場で評価されます。そこで、NPO法人を評価する仕組みが作られました。「非営利組織評価センター」です。笹川陽平・日本財団会長のブログをお読みください。
国による許可制が自由化されると、このように第三者評価が必要になります。
仮設住宅の延長
岩手県と宮城県では、高台移転工事や公営住宅建設が進み、仮設住宅の終了が始まっています。
岩手県では、今年度末(平成29年3月)まで、延長していた市町村が9ありました。今回、さらにもう1年(7年目へ)延長する市町村が決まりました。3つの市と村が今年度内に終了し、合計6市町がさらに1年延長します。宮城県では、12市町が今年度末まで延長していましたが、3市町が終了し、もう1年延長するのは9市町です。
現代の企業家、成功の秘訣
書評欄で紹介されていたので、D・ヨッフィーとM・クスマノ著『ストラテジールールズ―ジョブズから学ぶ戦略的思考のガイドライン』(2016年、パブラボ)を読みました。インテルを育てたアンディ・グローブ、マイクロソフトのビル・ゲイツ、アップルのスティーブ・ジョブズ。起業家として大成功しただけでなく、新しい事業のモデルを作った3人です。この本は、その3人に共通する成功の秘訣、3人の個性の違い、3人の失敗を分析した本です。どうして新しいビジネスを切り拓いたか、同業他社をどのようにつぶしたか。なぜ、先行していた他社は、戦いに負けたか。
どのような点が、皆さんの参考になるか。それは読んでみてください。私はなるほどと思いつつ、「結果論だなあ」とも思ってしまいます。歴史上の英雄や政治家、起業家。成功するには、それなりの努力とともに、運もありますねえ。いくつか記憶に残った記述を、紹介しましょう。
・・・ジョブズは、伝記作家にこう語っている。「『顧客には望む物を与えるべきだ』と言う人がいる。だがそれは私のアプローチではない。私たちの仕事は、顧客自身が気づく前に、彼らが望むものを明らかにすることだ。ヘンリー・フォードはこう語った。『もし、私が顧客に何が欲しいかと尋ねていたら、顧客は、もっと早い馬が欲しいと言っただろう』」・・・(p76)。
著者は、事業戦略で、相撲戦術と柔道戦術を比較します。相撲戦術は、力と規模にものを言わせる戦術です。柔道戦術は、てこの原理を活用して効果的に技をかけます。秘密の作戦やスピードを駆使します。器用さや敏捷性、相手の裏をかく能力が求められます(p238)。アメリカの企業競争に、日本古来の武道のたとえが出てくるのが、興味深かったです。