社会の変化、退職者が増えると、2

先日(5月19日)、若冲展で、私は仕方なく連休中に行き80分待ちで入り、それを聞いて平日に行った友人は90分待ちだったことを書きました。その友人から、続きが送られてきました。「65歳以上が無料となった5月18日には、なんと、11時の段階で320分待ちとのこと。その時点で入場しても、閉館時間まで1時間なので、その後は制限されたのでしょう」とのことです。
若冲展のホームページを見ると、「5月18日(水)はシルバーデーにつき65歳以上の方は無料。当日は大変な混雑が予想されます」と書かれています。いよいよもって、私の推論「高齢社会では、平日を狙っていく人が増えるので、逆に休日の方がすいている」が当たっているようです。この展覧会は、24日で終わります。明日と明後日は、どれくらい混むのでしょうか。

経済学批判、数学だけでなく倫理的視点を

朝日新聞5月19日オピニオン欄、チェコの経済学者、トーマス・セドラチェクさんの「しじみ汁の経済学」から。
・・・経済学は社会科学の中で浮いています。文献を調べていて驚いたことがあります。数字が入っている論文の引用度は、そうではない論文の10倍くらいになる。経済学者の中には数字が出てくると満足する人が多くなっている・・・
・・・数学は私の趣味のひとつですが、何でも数字で表せると考えるのは宗教的だしナイーブです。
経済学は数字で表せないものにも数字を与えたがる。でも本当にすべてに値札がついた人生でいいのか。友情や恋愛なんて数字にならない。ある人の笑顔がほしいからといって、それが2700円なんていうのはどうでしょうか・・・
ごく一部を紹介しました。全文をお読みください。

G7サミットの機能と役割

5月20日日経新聞経済教室「サミット 政治外交の焦点」、ケント・カルダー(ジョンズ・ホプキンズ大学教授)「民主主義の共有 再確認を」から。
・・・先進国首脳会議(G7サミット)は1975年の発足以来、40年以上の年月を経て、グローバルに価値あるものへと進化を遂げてきた・・・79年の第2次石油危機への国際的な対応が第1次石油危機よりも容易だったのは、G7史上最も成功を収めた79年の東京サミットでのマクロ経済的な対応とエネルギー政策によるところが大きい。もし70年代初頭にG7が存在したなら、ニクソン・ショックや米国大豆輸出規制に代表される貿易戦争などの騒ぎは起きなかったと筆者は考える。
ここでG7が一体どのようなものか認識することが重要だ。G7は先進工業技術を有する世界で最も巨大な経済国家の集合体だ。最も重要なのは、G7メンバー国が民主主義と市場経済という2つの特質を共有していることであり、広く国際的に関連する共通の価値へのコミット(関与)を明言していることである。
2008年以来、G7はより大きく包括的な機関のG20と国際的な課題設定(アジェンダセッティング)という複雑な任務を共有している・・・

地方財政学会

今日は、静岡大学での日本地方財政学会大会に行ってきました。朝10時からの共通論題「環境と災害」の「東日本大震災被災自治体の財政に関する分析」(宮崎雅人先生発表)の討論者に指名されたので。
宮崎先生の分析は、被災地域市町村の決算統計から、主に何に使われたか、その地域別の違いと経年変化とを読み取ったものです。総務省自治財政局が、復興分を別枠にして統計を取ってくれていること、それを公開しているので、分析が容易になりました。先生の分析は丁寧なもので、かつてない災害に対し自治体がどのような支出をしているかがよくわかります。私たち復興庁が見て感じている内容と合致しています。その上で、私からは、さらなる分析をお願いしました。
・過去の大きな災害と比べ、どのような特徴があるのか。
・今回、国が異例の財政措置をしたことが、どのような影響を与えているか。
・今後の財政状況はどうなるか(土地建物の被害による固定資産税の減収、公営住宅などの増加による維持管理費の増など)
このほか、「粗大ごみの有料化に関する実証分析」「神奈川県の森林保全をめぐる財政支出の構造と変化」も良くできた分析でした。神奈川県庁の税財政経験者かつ水源環境保全税に関係した教授も出席していて、実のある討論が行われました。
若手研究者が実績を上げ、活躍してくれるのはうれしいですね。地方財政は、現場を持った、現場に近い学問分野です。研究室で理論や数式だけを扱うのではなく、自治体がどのようなことで悩みどのように立ち向かっているか。目の前に課題とデータがあるのです。地方在住の研究者にも、同じように現場と課題があります。また、自治体も研究者を求めています。自治体の施策の検討や検証に、学者の目が欲しいのです。
研究者にはもっと、自治体に研究テーマについてデータをもらいに行ったり、疑問点についてヒアリングに行ってもらいたいです。自治体にも、近くにおられる研究者に相談に行き、データを提供して欲しいです。