ニュージーランド地震から5年

朝日新聞2月20日夕刊が1面で、「NZ地震5年、戻る活気」を伝えていました。ニュージーランドのクライストチャーチで大きな地震が起きたのは、2011年2月22日、東日本大震災の17日前です。あちらは都市での災害、こちらは沿岸部での広範囲な被害との違いはありますが、同じようにほぼ5年が経ちました。
・・・市管轄の約1千の施設は約4割が改修・再建され、2018年末までの完全復興を目指す。7万戸もの住宅に改修が必要なのに難航していた地震保険の支払いも、手続きの一部変更などで軌道に乗り始めた。ダルゼル市長は「再出発から再建へ移った。16年は再生の年にしたい」と意気込む・・・
この記事を読む限りでは、住宅再建は進んでいないようですね。また、地震保険といわれているように、行政ではなく、被害者個人の責任で再建が進められてるのでしょうか。そのあたりの比較をしてもらえると、参考になるのですが。

戦後イタリア政治

伊藤武著『イタリア現代史』(2016年、中公新書)が、勉強になりました。第2次大戦後のイタリア政治を、紹介した本です。日本と同じように、イタリアも第2次大戦で大きな被害を受け、ともに戦後復興に成功します。同じように、代議制民主主義でありながら、日本と似た点と、大きく違う点があります。内閣は短期間で交代を繰り返します。同じ首相が、何度も登板します。また、既成政党に反抗して、極右と極左がテロを繰り返します。代議政治が、国民の不満を吸収しきれないのです。
右のキリスト教民主党と左の共産党が2大勢力でしたが、ほかにも小党が乱立し、離合集散を繰り返します。社会の背景が違うと、政党や議会の機能が違うことが、よくわかります。制度を輸入しても、社会が違うと機能が違うのです。
奇跡とも言われる復興を成し遂げ、さらにファッションを中心としたブランドで繁栄します。しかし、マフィアとのつながり、南北問題(豊かな北部と貧しい南部)、腐敗した政党への批判が高まり、政治が大混乱します。その結果、キリスト教民主党と共産党が消滅します。選挙制度も変わり、1994年からは、第二共和政と呼ばれる時代に入ります。相変わらず、政権争いが続きます。政党の組み合わせだけでなく、政党内での主導権争いです。このあたりは、私たちにはわかりにくいところがあります。それでも、ベルルスコーニ首相は、通算10年も政権の座につきます。
イギリスやドイツが議院内閣制で日本に似ている、お手本だとも言われますが、案外似ているのは、イタリアです。たくさんの政治家が出てきて、日本人にはなじみのない名前も多く、その点を別にしても、参考になる本です。新書版の長所は、短い分量で、どれだけわかりやすく解説するかです。分厚い本を書くより、難しいのです。著者の力量が、問われます。

大統領報道官の朝

朝日新聞2月20日別刷りbe「フロントランナー」、アメリカ大統領報道官のジョシュ・アーネスト氏のインタビューから。
「世界中の出来事に毎日答える、米国の大統領報道官というのは、世界で最も忙しい仕事なのではないでしょうか。どんな一日を送っているのですか」という問に。
・・・朝は5時半ごろに起き、iPadや携帯端末の「ブラックベリー」などに目を通しながら支度をして、7時~7時15分の間にはオフィスに到着するようにしています。ホワイトハウスの高官が集う最初の会議は8時15分から始まるので、それまでに1時間はさまざまなものを読むようにしています。大統領報道官としての最大の課題は、世界や米国内、そして政界で起こっているすべてのことを知り、朝のうちのできるだけ早くすべての情報を吸収することです。
執務室には、ウォールストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストの新聞紙面が届くので、何が1面に掲載されているのか目を通します。どのようなことがどう優先順位をつけられているのかを理解するうえで役立ちます。
8時15分以降のさまざまな会議は、安全保障、経済、政治などさまざまな分野で起こっていることをそれぞれの高官たちに聞いて、情報収集する重要な機会として活用しています。
そのあとで執務室に戻り、2、3時間かけて毎日の定例会見の準備をするという具合です・・・

新しい東北、金融機関による支援

「新しい東北」では、産業の再生のため、いろんな取り組みをしています。復興金融ネットワークに参加していただいている金融機関による、復興に関する取組をまとめた「復興金融事例集」をつくりました。震災からの復旧だけでなく、創業、販路の開拓など、様々な支援をしています。ご覧ください。

孤独死

2月18日の朝日新聞朝刊が1面トップで、「震災の仮設住宅、5年間で190人が孤独死」を伝えていました。お読みになった方も多いでしょう。
記事でも伝えているように、阪神・淡路大震災でこの問題が明らかになりました。そこで今回は、その経験を元に、国・自治体・NPO・地元住民の協力で、見回り活動に力を入れました。しかし、この5年間で190人の方が、一人でなくなっています。
・阪神・淡路大震災の際には、5年間で233人でした。仮設住宅住民がはるかに多い今回で、これより少ない人数ですんだのは、地元の方の努力のおかげです。
・しかし、これだけ見守りをしても、ゼロにはできていません。特に問題は、本人が見回りを拒否する場合です。中年男性が多いようです。
これは、仮設住宅だけでなく、地域社会が抱える課題です。本人が「人付き合いは嫌だ。放っておいてくれ」といっている際に、それを超えてお節介ができるか。これまでの社会保障にはない問題で、今後の課題です。
・さらに今後の課題は、これから移っていただく公営住宅です。仮設住宅の多くは平屋建てで、見守りは比較的簡単でした。3階や4階建ての鉄筋コンクリートのアパートになると、プライバシーが守れる代わりに、孤立の条件が高くなります。
・今回は、仮設住宅での孤独死数を上げていますが、都会の公営住宅でも、実は孤独死は増えています。それらと比べて、発生率は多いのかどうか。これも分析が必要です。
基礎数値に基づかない私見ですが、仮設住宅の方が住環境は悪いのですが、孤独死防止対策は手厚く行われています。一般住宅より、ひょっとしたら少ないかもしれません。
・孤独死に、今のところ定義はないのです。一人暮らしの高齢者が亡くなったときに、それをすべて孤独死と数えるのか。世間との付き合いを、自発的にあるいは仕方なく閉じた人の、老後です。結婚しない人が増え、夫に先だたれた妻が増えると、さらにこの数字は増えます。