1月11日の朝日新聞が「東日本派遣の自治体職員調査」を載せています。ありがとうございます、よい点に光を当ててもらって。
今回の大震災では、多くの自治体職員が被災自治体へ応援に入りました。消防や警察以外でです。延べで9万人を超えています。このうち中長期に派遣された職員数は、記事によると6千人を超えます。被災地では大きな戦力になり、その意義が高く評価されています。今もなお、2千人を超える職員が地元を離れて、頑張っています。しかし、課題も見えてきました。アンケート(28面)でも指摘されているように、受け入れ側の準備が不十分なのです。
これは、応援が得意な消防にあっても、指摘されています。すなわち、消防部隊は、他の市町村に応援に行くことはしばしばあり、海外にも派遣されています。ところが、応援を受けることはめったになく、受け入れ側が何をしなければならないかがわからないのです。そして、大災害時には現場は大混乱していて、地元消防本部はそれへの対応で精一杯です。いえ、手に負えないから応援を受けています。
消防大学校では、受援(応援を受ける側)の訓練もしています(例えば、指揮隊長コースのカリキュラム・消防運用欄)。応援に来た部隊を、どの地区に入ってもらうか。日頃から、計画・マニュアルを作り訓練していないと、いざという時に動けません。
消防という、現場での作業は共通している部隊であっても、応援受け入れは難しいのです。いわんや、仕事自体がマニュアル化されていない事務部門、自治体ごとに特性がある職場であれば、なおさらです。消防と同様に、事務部門でも、知事会や市長会が中心になって「大規模災害時の受援マニュアル」的なものを、まとめてはどうでしょうか。
「受援」という言葉が多くの人に知られていないように、その機能や必要性が、まだ社会に認識されていないのです。この言葉は、国語辞典に、載っていないのではないでしょうか。
もう一つは、応援職員をどう支えるかです。親元職場そして自宅を離れて、勝手の違う職場に長期間派遣される職員には、それなりの支援が必要です。通常の職場でもメンタルヘルスが課題です。さらに厳しい条件にあるこの職員たちを支えなければなりません。各自治体を、地方公務員災害補償基金などが支援しています(26年度実施結果、ストレスチェックシート)。