5 大きな流れ
例年、「通常国会」は、次のような流れになります。
1月に開会(かつては12月に開会しました)
総理の施政方針演説と当初予算
優先順位が高いのが、これです。16年の場合は、国会の冒頭(1月19日)に施政方針演説を行い、あわせて補正・当初予算についても提案しました。
15年の場合は、最初に14年度補正予算・交付税法改正(補正関連)を成立させました。補正予算をあげてから、施政方針演説・当初予算提案でした。
16年の場合は、まず補正予算とイラクへの自衛隊派遣承認を審議することになりました。これらが両院を通過すると、次に当初予算が審議されます。16年の場合は、国の補正予算はありますが、交付税法の改正はありません。
2月9日に、15年度国の補正予算とイラク派遣承認が、参議院を通過しました。10日から衆議院予算委員会で、16年度予算案の審議が始まりました。テレビでも中継されていますが、最初は全大臣出席です。すなわち、この期間は本会議や他の委員会が開けないのです。
3月末日まで(日切れと日切れ扱い)
当初予算が審議されるにあわせて、予算関連の法案が提案され審議されます。地方交付税法などがこれです。そのため、政府提案の法案等には、優先順位がついています。
まず、「予算関連」かどうかの区別があり、予算関連が優先されます。予算関連法案とその他の法案とでは、国会提出の締め切り日が違います。今年の場合、予算関連法案は2月10日です。間に合わない場合は、その旨を内閣と与党に説明します。
また、「日切れ」かどうかの区別があります。日切れとは、年度末(3月31日)までに成立しないと、執行に問題が生じるものです。予算はその代表例です。
地方交付税法改正は、厳密には日切れではありません。しかし、年度末までに成立しないと、地方団体が安心して新年度の事業ができません。また、近年では総額の特例(加算)を講じているので、改正法が成立しないと、4月分の概算交付の額が、大幅に小さくなり、地方団体の資金繰りが困ります。このようなものを「日切れ扱い」といって、3月末までの成立をお願いします。
その他の質疑
総理の施政方針演説に対する質疑が、まず本会議で行われるように、各委員会では、どれぞれの大臣の所信演説に対する質疑がまず行われます。その後に、各法案の審議が始められます。
そして、例年3月末までに、日切れの案件と日切れ扱いの案件を衆参両院で処理します。その後、日切れでない予算関連案件を審議し、次にその他の案件を審議することになります。
16年の場合
2月16日から、衆議院予算委員会は、一般質疑(要求された大臣のみ出席)となりました。そして、17日には国税改正法案が、19日には地方財政関係法案が、衆議院本会議にかかりました。この間は、予算委員会は休憩になります。また、各大臣が予算委員会に呼ばれない時間帯を利用して、各委員会が開かれます。最初は、各大臣の所信表明とそれに対する質疑がなされます。
18日には、総理が出席して党首討論(国家基本政策委員会)が開かれました。この委員会は、「総理が国会(本会議やその他の委員会)に出席しない週」に開かれることとなっているようです(総理が出席する他の会議があれば、そこで質せばいいという考え)。
参議院先議
2月20日に、衆議院参議院の与野党国対で、参議院先議の案件が決まりました。国会に提出されている法案などのうち、どれを最初に参議院で審議するかです。予算は、憲法第60条で、先に衆議院で審議することが決まっていますが、その他の案件は決まっていないので、両院の各党の協議が必要なのです。総務省関係では、15本(予定)のうち、3法案が参議院で先議されることになりました。