被災地では、人手不足が課題になっています。それにも、いくつかの種類があります。
まず、役場職員が不足しています。他の自治体から応援職員がたくさん入っているのですが、これも限界があります。市町村が任期付き採用で増やしていますが、必要数全員を集めることができません。応募者が少なく、特に建設関係の技術者は企業と取り合いになっています。
次に、医療、介護、保育の現場です。復興が進み、住民が戻ってくるので、これら施設を再開しています。ところが、従業員を確保できないので、施設はあるのに受け入れることができないのです。例えば10月3日の福島民報は、保育園の待機児童が急増したことを伝えています。特に、南相馬市については、次のように書いています。
・・・避難区域を抱える南相馬市は住民の帰還が進む一方で、保育所や保育士の不足が続いていることが影響したとみている。同市では、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で6つの公立保育園のうち、開所しているのは3園のみ。来年度中に1園を再開させる考えだが、担当者は「震災から4年半が過ぎて住民の帰還はさらに加速するとみられ、待機児童は今後も増える可能性がある」と危機感を募らせる・・・
先日、南相馬市長にお会いしたときも、この保育所のほか、老人保健施設や病院の「空きベッド」(ベッドはあるけど、職員不足で受け入れることができない)を訴えておられました。
もう一つ、産業従事者が集まらないのです。被災地では水産加工施設など働く場が復旧し、また野菜工場など新しい産業もできています。ところが、従業員が集まらないのです。通常は、「働く場がないので、過疎になる。だから産業振興や企業誘致をする」です。被災地では、逆のことが起こっています。「外国人労働者を入れよう」という声もあります。それも必要でしょうが、都会に出て行く若者に戻ってきて欲しいです。「若者が戻ってくる魅力ある町つくり」が必要ですが、これは一筋縄ではいきません。