総選挙後の政権について、新聞が様々な予想をしています。誰が選挙に勝つか、政権につくか、政策はどう変わるかです。共通しているのは、小泉政権でないと、郵政民営化が進まないことと、もう一つは三位一体改革が進まないのではないか、という予想です。
前者(郵政民営化)は「官から民へ」、後者(三位一体改革)は「国から地方へ」の象徴です。共通点は、現在の政治権力(旧来型の自民党族議員と各省)を転換しようとするものです。そして、総理のリーダーシップがなければ進まないのです。
違いは、郵政民営化については、官から民へのシンボルであっても、すべてではないとの評価もあります。また小泉総理一人ががんばっている、との見方もあります。それに対し、三位一体改革は、これこそが中央集権を地方分権に変える骨格であり、また、地方団体全体がエンジンになっているという違いがあります。しかも、郵政は特定分野での改革であり、三位一体は包括的・全分野での改革です。(8月9日)(三位一体改革のページ再掲)
今回の解散総選挙で、日本の政治が盛り上がっています。政治が戦いであり、ドラマであることが再認識できます。
政治学的には、総理のリーダーシップ、争点設定、利益団体・族議員対改革、自民党内の意思決定方法、党総裁対議員、派閥の力、参議院の力、参議院と衆議院の解散など、日本の政治を考える「いい材料」です。これまでにない、争点設定とそれを巡る争いです。もっとも、与党対野党でないところが、政治学の教科書と違っていますが。追い追い、今回の政治ドラマを、私なりに解説したいと思っています。
とりあえず、今回の解散と選挙が「郵政民営化を問う選挙」でないこと、与野党の対決でもなく、「自民党を清算する」ものであることについては、8月16日付け朝日新聞「政態拝見」(曽我豪記者)の「二つの解散劇ー半世紀隔て、自民決算の夏」が参考になります。(8月17日)
日本経済新聞社の世論調査(23日付け、日経新聞)では、消費税率引き上げについて、「現在の財政状況を考えればやむを得ない」が16%、『年金財源などに限定するなら仕方がない」が29%でした。合計では45%です。
衆院選で重視する政策課題は、次の順でした。①社会保障問題、②郵政改革、③景気対策、④税制改革、⑤財政再建、⑥雇用対策、⑦教育改革、⑧環境問題。(8月23日)
(マニフェスト検証)
26日に「新しい日本をつくる国民会議」が「政権公約検証緊急大会」を開き6つの団体が、小泉内閣の実績と前回総選挙の際に与党が掲げた政権公約の採点をしました(27日朝日新聞朝刊など)。「小泉首相の改革に取り組む姿勢を評価する点で一致したが、実績には辛口の評価が多かった。自民、公明、民主各党が今回の総選挙で示した政権公約には、具体化を求める意見が相次いだ」
自民党の公約達成度総合評価は、日本総研70点、経済同友会65点、全国知事会60点、言論NPO43.8点、PHP総研32点、構想日本31点です。全国知事会の小泉内閣の実績評価は「国から地方への税財源以上問題が『三位一体の改革』で動き出したことは評価。しかし04年度の実態は地方案とかなり異なり、義務教育など多くの課題が道半ば」です。
政党が検証の対象となりうる公約を掲げ、国民が実績を評価できる時代になりました。日本の政治は、少しずつ動いています。