細谷雄一著『戦後史の解放Ⅰ 歴史認識とは何か―日露戦争からアジア太平洋戦争まで』(2015年、新潮社)が、勉強になります。先生の意図は、あとがきp281に述べられています。
・・・また、本書のタイトルが「歴史認識とは何か」となっているのは、本書の主たる目的がすでにいくつもある近現代の通史に新しい一冊を加えることではなく、あくまでも日本人が抱える歴史認識をめぐる問題の泉源を探ることだからである。日本が戦前に、対米戦争へ向けた道のりを歩み始める大きな原因が、国際情勢認識の錯誤にあったと本書では指摘している。そして現在の日本でも、歴史認識をめぐり、国際社会の一般的な理解とは大きく異なる、自己中心的な歴史理解が数多く見られる。安全保障政策をめぐる現在の議論の混沌も、そのような奇怪な国際情勢認識に基づいたものと考えている。すなわち、国際政治や国際法をほとんど学ばずして、日本国内の正義と論理のみでそれを語ることで、国際社会からは理解しがたい奇妙な議論が数多く横行しているのだ・・・
この項、続く。