原発事故被災12市町村の将来像を、有識者の方たちと検討しています。その提言が、ほぼまとまりました。今回のとりまとめには、次のような特徴があります。
このような提言では、「夢のある話」が書かれるのですが、それを「実現可能」なものにする必要があります。通常、外部の有識者は、夢のある話を語ってくださるのですが、ときどき実現するのが難しい「夢」であることがあります。他方で、公務員たちで議論すると、「現状の延長」「実現可能なもの」「予算のかからないもの」になって、夢がなくなります。
今回は、現地の状況を知りつつ、夢を語っていただける委員の方々に、参加いただきました。また、福島県知事に入ってもらうとともに、市町村長との意見交換をもしました。他方で、復興大臣をはじめ復興庁も参加することで、実現可能性を担保しました。
内容の面では、放射線量の減衰を推計し、時間はかかりますが、将来は全域で帰還可能との見通しを立てることができました。そして、住民や子どもたちの、「帰りたい」という意向を基に、議論をしました(もっとも、帰還意向は、全員ではありません)。
夢としては、廃炉関連の研究施設やロボット産業など、新しい産業を育てる方向性を出しています。他方、これだけだと未知数が多く、また雇用吸収力も不安です。そこを支えるのが、廃炉作業員などです。現在も毎日、約7千人が、いわき市や広野町から第一原発に通っています。廃炉作業はまだ当分の間、続くと予想されます。すると、この人たちを核とした、「企業城下町」的な町ができるのです。
既に、大熊町大川原地区には、東電による第1原発作業員のための給食センターが、この春から稼働しています。そこでは、約100人の雇用が生まれています。
このように、夢のある話と地に足が付いた話と、両方が入っています。そのポイントは、2015年7月9日に「原発被災地域の将来」に書きました。一部の修正をして、近々提言がまとまります。ここに書かれた各論を、着実に実現していく必要があります。国、県、市町村だけでなく、企業や住民の力も必要です。
なお、復興大臣は、この検討会議のすべてに、最初から最後まで出席しました。座長の大西隆先生が「このような会議で、大臣が皆勤なのは珍しい」とおっしゃっています。また、会議の多くを、福島で開催しました。有識者の方は関東や関西におられるので、少々時間がかかるのですが、福島の将来を考えるので、このようにしました。「現地で考える」が、復興庁の原則です。当たり前のことですが。