広辞苑が、刊行以来60年になるのだそうです。すなわち、1955年生まれで、私と同い年です。戦前からあるのだと思っていました。
私が使い出したのは、中学生の時です。田舎の中学生にとって、広辞苑は権威であり、あこがれでした。一つの単語を引いては、近くの単語を読みと、知識の源でした。小学生や中学生の時は、百科事典を読むのが楽しみでした。知らないことばかりでしたから。また、教科書のほかに適当な本もありませんでした。
国語辞典の話に戻ると、社会人になってからは、職場では「岩波国語辞典」を使っています。こちらは1,800ページでコンパクトです。もっとも、パソコンで調べることも多くなりました。一つの単語を調べるには、インターネットが便利でしょう。しかし、学生が勉強するなら、印刷物の辞書をお薦めします。知識が横に広がります。
月別アーカイブ: 2015年6月
社会科学による大震災の分析、2
日本学術振興会(村松岐夫先生ほか)による東日本大震災学術調査プロジェクト「大震災に学ぶ社会科学」の第2回配本、第7巻『大震災・原発危機下の国際関係』が刊行されました。
内容は目次を見ていただくとして、今回の大災害では外国との関係、特にコミュニケーションが問題になりました。今後の危機管理には、国際関係的視点が不可欠なのです。被災者支援本部でも、国際班をつくりました。
第2章 外国支援の受け入れ
第3章 自衛隊と米軍の共同作戦の成果と教訓
第4章 日米協力の国内外への影響
第5章 対外的な危機時コミュニケーション
第6章 外国メディアの大震災・原発危機報道
第7章 外国人と外国政府の避難行動
第8章 放射能汚染の対外関係への影響
第9章 国際機関との関係
第10章 世界の原発政策への影響
第11章 結論:大震災・原発危機の対外関係への影響
このような観点からの分析は、このようなシリーズでなければ行われなかったでしょう。ありがとうございます。
シリーズ全体は、「社会科学による大震災の分析」(2015年5月6日)で紹介しました。
復興事業のコスト意識
6月1日の日経新聞地域面「時流地流」は、山本朗生記者の「新・復興事業コスト精査を」でした。
・・・被災地にも一部負担を求める国と、全額国費の継続を求める地元自治体が対立するが、どんな結論になるにせよ、事業採算を高めるという点では、しっかり共同歩調を取る必要がある。
国が「集中復興期間」と定めた11~15年度は、いち早く被災地の生活インフラを立て直すために、適正なコストをじっくり精査できないのもやむなしという面があった・・・
として、次のような例を紹介しています。
宮城県多賀城市で建設中の工業団地。当初計画47億円が54億円に膨らみました。増加分7億円は国費で支援していますが、この多くを市が負担するのであったら、規模を縮小したかもしれないこと。
宮城県南三陸町の下水処理場。かつては370世帯の下水を処理していました。大半の世帯が津波被害で移転したのを機に稼働をやめ、町内の移転先では個別の浄化槽で処理してもらうことになりました。全額国費で再建する手もありましたが、佐藤仁町長が「下水管敷設や維持にコストがかかりすぎる」と断念した例。
原文をお読みください。