今回の復興に際して、新しく作った制度として「復興交付金」があります。自治体の公共施設が災害を受けた際は、復旧工事を支援する国庫負担金があります。被害が大きく、自治体が負担できないことがあるからです。国が「保険」の機能を果たしているのです。しかし、災害復旧負担金は、被害を受けた施設を元に戻すことしか面倒をみません。「復旧」なのです。そこで、学校や病院を高台に移転して復旧する(復興する)ことや、街並みの高台移転工事のために、「復興交付金」を作りました。国が経費の大半を支援し、残りは復興特別交付税で支援します。
さらに、そのような「基幹事業」にあわせて、付随する事業を実施できるように「効果促進事業」という補助金も作りました。大きな金額を用意しているのですが、自治体では、まだ十分に活用してもらっていません。これまでは、自治体も復旧事業と基幹事業を発注するので精一杯という事情もありました。しかし、高台移転の工事などが進むと、まちづくりのために、様々な事業が必要になります。例えばそこまでの取り付け道路が必要だとか。そこで、効果促進事業交付金を、どのような事業に使えるか、先行事例を参考に例示しました。「効果促進事業の活用パッケージ」です。
事例をみていただくと、「なるほど、こんな事業も必要になるなあ」というのが、並んでいます。例えば、公営住宅にコミュニティ集会所を作ること、防災集団移転元地の活用など。工事の進捗状況を市民に情報提供することや、公共施設をつくる際の維持管理費の推計作業(それによって、施設規模を縮小しています)にも使ってもらっています。この効果促進交付金は、かゆいところに手が届く「画期的な制度」だと思います。また、現地の実情に応じて、このように使いよいように進化させています。復興交付金制度は、財務省から出向してきた職員が中心になって作ってくれた「傑作」です(関係資料)。