東京財団、細谷雄一さん(慶應大学教授)の「歴史認識問題を考える書籍紹介」から。
・・・近年は、歴史学の領域のみならず、政治学や国際関係論においてもまた、歴史認識や歴史的記憶が持つ重要性が指摘されるようになっている・・・われわれは、依然として、歴史認識問題や歴史記憶問題を純粋な、誠実さの問題として位置づけることが多いが、ここで指摘されているように、よりいっそう政治学的な問題として、「記憶」がどのように用いられているかを、十分に認識しなければならない・・・
・・・日本が現在抱える最も困難な歴史認識問題は、日中間と日韓間で見られる。とりわけ、慰安婦問題は、日韓間で首脳会談さえも開くことができないほど、両国の関係を緊張させている。韓国国内では、この問題を学問的研究対象として、冷静に論じることは困難であろう・・・
・・・E・H・カーは、「現在の眼を通してでなければ、私たちは過去を眺めることも出来ず、過去の理解に成功することも出来ない」と論じている。言い換えれば、日韓間や日中間の歴史認識問題を理解するためには、韓国政治や中国政治、そして日本政治を理解することもまた、不可欠なのだ。なぜそのような歴史認識問題が浮上したのか。なぜそれが解決できないのか。それは、歴史的事実を理解するだけでも、歴史史料を探すだけでも、不十分なのであろう。相手を批判するだけではなく、過去を理解すると同時に、現在を理解することで、複雑に絡み合った歴史認識問題に適切に対応できる前提条件が得られるのではないか・・
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