朝日新聞5月30日オピニオン欄、北岡伸一先生のインタビュー「戦後70年談話」から、続き。
「21世紀懇の議論をもとに首相談話が書かれるとすれば、有識者の役割は極めて大きいと思います」との問に。
・・・誤解されては困りますが、議論を踏まえて我々がどんな報告を上げるのかと、首相が最終的にどんな首相談話を出すのかは別の話です。懇談会の議論がすべて無視されるとは思いませんが、いずれにせよ首相談話そのものには直接関与していません・・
「談話を出す際に、首相は「幅広い意見に耳を傾けた」と言うのではないでしょうか。21世紀懇の存在が、首相の「免罪符」に使われる恐れはありませんか」との問に。
・・・では、為政者が誰にも相談せず、自分の頭だけで考えて談話を出す方が良いと言うのでしょうか。歴史は事実に基づいており、研究として蓄積がある学者は客観的な材料を提供することができます。一方、首相の談話は外交問題も絡む極めて高度な政治的行為です。談話が歴史を無視したものになっては困りますが、政治的なメッセージは主として政治家が判断すべきではないでしょうか。
有識者会議の役割ですが、例えば政治家が何かを発言する時、官僚はなかなか「ノー」とは言えない。かなり一方通行的な関係である政治家と官僚に比べ、我々は嫌われることを恐れず自由に発言できます。官僚のセクショナリズムに陥ることもありませんから、さまざまな意見を総合する効果はあるのではないでしょうか・・・