憲法記念日なので、憲法の話を。憲法改正議論が盛んになりました。国会・政党で議論されているほか、新聞各紙も特集を組んでいます。
それぞれの議論には立ち入りませんが、このような議論ができるようになったことを喜びましょう。「押しつけ憲法だから改憲する」とか、「絶対守らなければならないので改憲しない」では、建設的な議論はできません。どちらにしても、憲法が国民のために作られた「道具の一つ」であることを、忘れています(拙著「新地方自治入門」p228)。
その点で、4月29日の朝日新聞「憲法総点検」(上)は、わかりやすかったです。憲法は「公権力を縛って、国民の権利を守るもの」か「国家の目標を掲げ国民が従うべきルールを定めるもの」かという、憲法のそもそも論を解説していました(拙著p305「憲法を支える意識」)。5月1日の(下)では、行政権を「政治的な意思決定である執政」と「官僚によるその実行」に分ける議論を紹介していました(拙著p272「行政と統治の関係」)。
日本経済新聞「経済教室」の「憲法」連載(4月26日~29日)も、読み応えありました。長谷部恭男先生の「憲法の前提となる国家像を考える必要がある」(私の言う「この国のかたち」)「冷戦が終わり、子供から老人まで日常的に動員する必要がなくなった国家は福祉国家をやめ、広範な領域で撤退を始めた」、中西寛先生の「グローバル化に日本として対応できる制度設計」「国民参加による決定」などです。大学では、現行憲法の解釈ばかり習ってきたと記憶しますが、このような議論は面白いですね。十分紹介できないので、原文をお読みください。
憲法と地方自治との関係については、先日、地方行政4に書きました。