被災地での産業復興、40の挑戦事例

被災地で産業振興のために、新たな挑戦や課題の克服に取り組んでいる事例を取りまとめました。「新しい東北」の一つの実践です。『被災地の元気企業40―創造的な産業復興を目指すフロントランナーたち』。40の事例を、「産業復興の目標像」別、「業種」別、「所在地」別で整理しています(p8~14)。「目標別」は、次の4つです。
1 地域基幹産業の底上げ・成長(事業革新・高度化、競争力強化)
2 地産地消型・地域資源型産業の地域基幹産業への成長(需要フロンティア開拓)
3 新たな地域基幹産業の創出(再生可能エネルギー関連産業、医療福祉機器関連産業等)
4 地域の暮らしと雇用を支える産業・生業(地域生活基盤産業)の再生

40事例すべてを見るのは大変でしょうから、興味ある事例を選んでご覧ください。また、成功事例を5つ選んであります(p17)。忙しい方は、ここをご覧ください。例えば、p20の「チーム漁火(いさりび)」は、水産加工の4社(同業他社のライバル)が手を組んで、生産の効率化、新しい商品の開発と販路開拓に挑戦している例です。若手4人の跡継ぎたちが、これまでの方法では復活しないと悩み、手を組みました。p112以下には、直面した課題をどう克服したかを、分析してあります。
表紙には、40人の顔写真が載っています。産業振興の秘訣は、「核になる人」です。行政からの補助金や東京の大手コンサル会社より、地元で頑張る人によります(8日に開催した「新しい東北」×「地方創生」」パネルディスカッションでの、海士町の奥田麻衣子さん、神山町の大南信也さん、紫波町の岡崎正信さんの発言も、参考にしてください)。産業と生業の再生がないと、地域は復興しません。これらは、地方創生の先行事例です。悩んでおられる各地にとって、参考になると思います。問い合わせ先は、p121をご覧ください。

現地で生じる困った問題、住んでいない仮設住宅

被災地では避難者のために、様々な支援をしています。しかし、現地では、住民たちの行動によっていろいろな問題が生じます。11日のNHKニュースは、「生活実態のない仮設住宅 200戸以上」を伝えていました。
・・岩手県で生活の実態がないのに退去の手続きが取られないままになっている仮設住宅が、200戸以上に上ることがNHKの取材で分かりました・・
・・中には、入居者と全く連絡が取れない仮設住宅も、およそ80戸に上るということです。このうち大船渡市では、手続きを忘れているケースのほか、新居に移ったものの倉庫代わりに使ったり、地元に戻った際の宿泊場所として使用したりしているケースもあるとみています。
市では、小中学校の校庭にある仮設住宅を来年9月までにすべて撤去する計画ですが、連絡がつかず、住民の同意が得られなければ、計画に遅れが出かねないとの懸念も出てきています・・
これから、このような問題も出てきます。

被災中小企業と大手企業をつなぐ、結いの場

復興庁では、被災地域の企業が抱える多様な経営課題の解決を図るため、大手企業等が、技術、情報、販路など、自らの経営資源を幅広く提供する支援事業の形成の場として、「地域復興マッチング『結の場』」を実施しています。2月13日に第10回目を気仙沼市で開催します。開催するだけでは意味がありません。どのような成果が出ているか。p4に例を付けておきました。

世界のリスク、経済から軍事へ

ダボス会議を主催している「世界経済フォーラム」が、毎年、世界のリスクを評価して発表しています(Global Risks Report)。近年は経済的なリスクが上位を占めていたのですが、今年はがらっと変わって、戦争や国家統治の失敗が上位に来ています(1月31日読売新聞解説スペシャル「ダボス会議2015」)。
昨年は、1位深刻な所得格差、2位異常気象、3位構造的失業と不完全雇用、4位気候変動への対応失敗、5位大規模サイバー攻撃。今年は、1位国家間紛争、2位異常気象、3位国家統治の失敗、4位国家の崩壊・危機、5位構造的失業と不完全雇用です。
・・As the report’s 10th anniversary approaches, the evolution of the perceived top five global risks can be viewed in terms of impact and likelihood as documented in the Global Risks reports from 2007 to 2015. As Table 1.1.1 shows, economic risks largely dominated from 2007 to 2014, with the risk of an asset-price collapse heading the list in the run-up to the financial crisis, giving way to concerns about the more immediate but slow-burning consequences of constrained fiscal finances, a major systemic financial failure in the immediate post-crisis years, and income disparity. This year features a radical departure from the past decade; for the first time in the report’s history, economic risks feature only marginally in the top five. In the 25th year after the fall of the Berlin Wall, geopolitical risks are back on the agenda・・.

女子高生、スマホ中毒

2月10日の朝日新聞夕刊に、子どもたちのスマホや携帯の利用状況が載っていました。ある会社の調査です。それによると、1日の平均使用時間は、男子中学生1.9時間、女子中学生1.8時間、男子高校生が4.1時間です。しかし、女子高校生は7.0時間です。1日9時間以上が3割、15時間以上が1割います。ほぼ1日中、スマホに没頭しているということですね。中毒でしょうか。
私が親だったり、教師だと、どのように指導すればよいのか。難しいですね。便利な機器が生む、新しいリスクです。かつてこのページで、「ハイテク企業のトップは、子どもにスマホを使わせない」ことを紹介しました(2014年10月13日の記事)。