新年2日の話題にはふさわしいとは思いませんが、このような休みの時期でないと、ゆっくり読めないので。
朝日新聞が、慰安婦報道に関して、間違った記事を書き、さらに取り消しや謝罪が遅れたことの検証です(12月22日報告書など)。大きく報道されたので、多くの方がお読みだと思います。報告書の最後の部分(14 問題点の指摘と第三者委員会のからの提言。p85以下)を拾い読みして、なるほどと思った点を書いておきます。
1 「(7)言論機関における第三者委員会設置についての注意喚起」に、次のような記述があります。
・・民主主義社会において、「報道の自由」は、憲法21 条が保障する表現の自由のうちでも特に重要なものであり、日本の判例上もそのように認められてきた(最1判昭53年5月31日刑集32巻3号457頁)。この点に鑑みれば、特定の新聞社のあり方について、たとえさまざまな不祥事や事件があったからとはいえ、そのあり方や評価をメディアの外部に委ねることは、必ずしも最良の措置とは言えない。
当報告書は、この点を十分に認識した上で、朝日新聞社に対して、あえて社外から見た問題点を多岐にわたって指摘した・・
私も、これは疑問に思っていました。2重の意味で、問題だと思います。
まず一つは、問題を起こした組織が自ら検証をせず、他者に委ねることの問題です。「身内の調査では不十分だ」との批判があることは承知していますが、自ら検証せず他者に委ねることは、責任を果たしたことにならないと思うのです。他人に任せると、しばしばマスコミは「自浄能力が試される」と批判します。
また、報告書に、朝日新聞社はどこまで責任を持つのでしょうか。第三者委員会も、人選やテーマの設定、さらには議事の進め方によって、必ずしも客観的とは言えないこともあるのです。かつて各省が設置した審議会について、「官僚の隠れ蓑」と批判されたことは、記憶に新しいです。今回の検証委員会のメンバーは、日本を代表するすぐれた人たちであることは間違いありませんが。
もう一つは、報告書が指摘しているように、報道の自由を主張する新聞社が、報道のあり方を第三者に委ねることは、大きな問題です。製造業の会社が、事業のあり方の検討を第三者に委託することとは、意味が違います。そんなことはないと思いますが、将来何らかの事件があって、国会や政府に「マスコミの報道のあり方に関する第三者委員会」が設置されるようなことがあったら、マスコミはどのように反論するのでしょうか。
この項続く