復興庁では、関係省や自治体の協力を得て、主な公共インフラ(道路、鉄道、住宅、学校など)の本格復旧の進捗状況を、四半期ごとに公表しています。
平成26年9月時点のものを公表しました。目標や計画を100とした場合の達成状況を%で示しているので、わかりやすいです。帯グラフの中で、青色が着工済みの数、赤色が完成したものです。ご覧ください。
なお、住宅については、市町村ごとにより詳しい工事の進捗状況と予定を公表しています。「住まいの復興工程表」
月別アーカイブ: 2014年11月
被災地町長の増税への考え方
須田善明・宮城県女川町長のブログから。女川町は津波によって、町の中心部が壊滅しました。現在、土地のかさ上げや山を切り取って、まちづくりをしています。まさに、町全体の作り替えです。11月4日、総理官邸で開かれた消費税増税のための意見聴取に出席された際の発言です。
・・今回私が呼ばれたのは被災地の視点から、ということだと思うが、まず断っておくのは、当然ながら、私の意見は被災地の民意や被災自治体の首長の考えを代弁するものではなく、あくまで故郷復興に行政トップとして携わる一政治家としてのものである。
また、国家的な視点で行われるべきであり、その際に「被災地がこうだから」というようなことが議論の中核に挟まれることは望ましいとは考えない。ご配慮いただくのはありがたいが、誤解を恐れずに言えば、大震災での被災者は全国民の1%くらいの割合である。
但し、福島の方々については最後までしっかりしたケアが当然。こうしたことを除いての残りの99%、つまり国家全体というマクロな視点で行われるべきものであると考える。「被災者がこうだから」というようなことは別の場での議論であろう・・
・・関係して被災地の復興や経済状況等に若干触れる。
「税が上がれば被災者は大変ではないか?」と言えば大変なのは日本全国どこでも一緒で同じ。増税して喜ぶ方がいたら会ってみたいものである。
そういう中で、本町では震災から二年が経った時に介護保険料の基準額を2割以上引き上げた。町の介護保険会計が破たんしないよう、そうせざるを得なかった。町議会でも相当な議論をいただいたが、最終的に日本共産党所属以外の議員の方には賛成をいただいた。同様に、東松島市では、南三陸町もそうだったと思うが、国保の保険料を15%程度引き上げた。
被災後の状況ではあっても、パブリック(サービス)の母体となる制度をきちっと維持していかなくては、その提供すらできなくなる、という判断だった。被災地ですら、そのような判断を今の状況の中でやっている、ということを申し上げておきたい・・
記者懇談会
今日午後に、記者さんたちを相手に、懇談会(説明会)をしました。官庁ではそれぞれに違いはありますが、記者さんたちを相手に、年に数回、業務の概要説明を行います。復興庁では、不定期ですが、年に2回くらいやっています。重要事項の発表の他に、行うのです。「バックグラウンド・ブリーフィング」も、記者さんに背景や事情を理解してもらうのに、重要です。私は、好きです。
記者さんたちは、それぞれに問題意識を持って、官庁に対して取材をします。それは重要なのですが、役所としては、まず基本的な知識を持ってもらって、それから取材をしてもらいたいのです。記者の多くは、1年未満で交代していきます。全体像を知らずに、重箱の隅を研究されても、良い記事になりません。
私としては、現場での復興がどこまで進んだか、復興庁は何をしているか、これから何が課題かを、客観的公平に見てもらいたいのです。そのためには、私も、何が進んで、何が進んでいないか、さらに今後の課題は何かを、正直に提供しなければなりません。
もっとも、復興庁を長く取材している記者さんと、現場を取材している記者さんは、もし私が問題点を隠しても、鋭く指摘してくるでしょう。
質疑応答は、私にとって、真剣勝負の場です。記者会見の場で、答えにくい質問に、「××なので、コメントを差し控えます」という答を返す人がいます。しかし、記者懇談会やバックグランド・ブリーフィングの場合に、はぐらかしては信用を失います。もちろん、質問の内容によりますが。
私の発言が、ぎりぎり活字になるかならないか、活字になっても良いかを判断しながら、答えなければなりません。「わかりません」「それはお答えできません」を連発すれば、次回から記者さんは参加しなくなるでしょう。
なので、この懇談会は、彼ら記者たちが、官庁側の説明者の力量評価をする場です。「この統括官は、今後取材しても無駄だな」「この参事官は、取材してみようか」と。私にとっても、記者さんたちそしてその後ろにいる国民が、どのような点に関心を持っているのかを知る、貴重な機会です。
国会質疑
今日6日は、衆議院復興特別委員会での質疑でした。午後から園遊会が開かれるので、8:40~11:40という時間帯です。大臣との勉強会はその前に行ったので、少し早起きしました。もっとも、総理秘書官や大臣秘書官の時は、もっと早起きでしたから、どうってことはありません。大臣の所信に対する質疑なので、今日もさまざまな分野の質問が出ました。私にも、2問の質問がありました。
家風や社風の再生産
先日の「日本人の自己認識」(11月2日)の補足です。私は、『新地方自治入門』p198で、地域の財産として次の5つを挙げ、特に見えない資本の重要性を述べました。社会的共通資本、ソーシャル・キャピタルです。
1 自然資本=自然環境
2 社会資本(施設資本)=公共施設、公共的施設
ここまでは、目に見えます。
3 制度資本=教育、医療、保険、警察、司法、保育、介護
4 関係資本=信頼などの人間関係
5 文化資本=社会としてのものの考え方、治安、風紀、助け合い、勤労を尊ぶ気風、お国柄
世間ではまたこれまでは、社会資本と言えば公共施設を指しました。しかし、ここに挙げた目に見えない人間関係は、社会で暮らしていく上で、重要な基盤です。
この記事を読んだ人の反応です。
「このような日本人の自己認識が好循環を呼ぶのは、家庭や職場、学校などでも同じなのでしょうね。朝の挨拶や、勤勉な家風が、自然と子どもや職員、生徒に伝わって、家風や校風、社風ができるのでしょう。そしてそれが、再生産されるのだと思います。教訓をいくら紙に書いても、それだけでは良い校風は育たないでしょう」。
おっしゃるとおりです。