イデオロギーが持つ怖さ

読売新聞「編集委員が迫る」11月7日は、佐瀬昌盛・防衛大学校名誉教授の「冷戦終結25年」でした。戦後日本で、マルクス主義が大きな影響力を持ったことについて。先生は、1961年のベルリンの壁建設開始直後に、ベルリンに留学されました。
・・ベルリン留学から帰り、NATOの研究を志したところ、学界からは白眼視された。NATOは米帝国主義の組織だから研究すること自体がけしからん、というわけだ。防衛大学校の教官に決まると、既に決まっていたある出版社の全集の執筆者から外された。
世界は東西冷戦だったが、日本は国内で冷戦を戦ったと言える。西欧諸国にもマルクス主義者はいたが少数派だった。知識人が二分されたのは、日本だけだ。
知識人の中で中道という考え方は人気がなかった。冷戦が終わりマルクス主義の権威は地に落ちたが、相変わらず白黒の二分法の考えで、中道嫌いは今も続いている。中道とは左右を足して2で割った考えではなく、それ自体の独立した価値がある。言い換えれば、人間性の洞察に基づく健全な常識のことだ。21世紀にこそ、中道が根づいて欲しい・・

災害公営住宅にできる自治会

昨日に引き続き、新しい町での自治会づくりについて。
岩手県内では、入居が始まった災害公営住宅35団地のうち、8割の団地で自治会ができたり、地域の自治体に編入しています。活動に濃淡はありますが。
11月12日の岩手日報が、伝えています(災害公営住宅で自治会設置進む。7団地は単独組織)
人は一人では生きていけません。家族の他に、地域でつながるか、仕事場でつながるか。宗教や趣味でのつながりもあります。都会においても最後に頼りになるのは、地縁です。もちろん田舎では、なんと言っても地縁です。
確かに、近所づきあいは、面倒なこともあります。しかし、自分の都合の良い時だけの付き合い、例えばネットによるつながりは、切るのも簡単だし頼りになりません。面倒なのは、趣味やその他の団体も同じです。楽をして信頼は作れません。

減りつつあるホームレス

東京都の調査によると、23区内の路上生活者数は914人で、調査を開始した1999年以来最小になりました。ちなみに、1999年には5,798人でしたから8割減です(概要)。都と区による取り組みが効果を上げているということです。一時宿泊所を用意し、自立支援を行っています。取り締まるだけでは、減らないのです。
市町村部や国管理の河川での人数を加えると、東京都全体では1,697人です。都の資料によると、全国でも最多時では2万5千人いたホームレスが最近では7,500人程度に減っています。

避難先の公営住宅でコミュニティづくりの支援を行う

11月11日の朝日新聞福島版とデジタル版が、「住民同士つなぐ「交流員」始動、避難者の復興住宅」を伝えています。
原発事故で避難している人で帰還を待つ人たちのために、県内(避難元の町村とは別の市町村)に、公営住宅を建設しています。順次完成していますが、そこで安心して暮らしていただくためには、さまざまな工夫が必要です。孤立を防止し、住民のつながりを作り、コミュニティを作る必要があります。さらに、町外に作るので、受け入れ自治体の住民との交流も必要です。そこで、そのような活動を支援するために、「交流員」をおくことにしました。このニュースが伝えているように、その活動が始まりました。今回の事例は、郡山市にできた復興住宅に、富岡町民が入居します。
ちなみに、この交流員の仕組みは、復興庁が主催した研究会で、これまでの知見を元に考えたアイデアです。交流員の人件費も、国費で支援しています。(関係資料