11月13日に、復興推進委員会を開きました。「新しい東北」の進捗状況を報告しました(資料1-2)。
特に先導モデル事業の中間報告では、今年取り組んでいる95事業の概要を付けてあります(資料1-1)。例えばp34と35に、このページでも紹介したことのある「百貨店による推奨ブランド」や、マスコミでも取り上げられた「東の食の実行会議」が載っています。p10には、いわき市で取り組んでいる「民間主導型オンデマンドバス」が載っています。行政の補助金なしで、商店街が運営するオンデマンドバスです。
また、被災地での産業復興について、資料2に現状分析を提出し、議論していただきました。委員の先生方には、これまで主にこのような取り組み事例を中心に現地視察をしてもらっています(参考資料2)。それにも基づいて、さまざまな意見が出ましたが、論点は集約されています。
参考資料として、いつものデータ集を更新して載せてあります。また、パンフレットも新しくしました。ご利用ください。ちなみに、後表紙が災害直後の様子で、表紙が現在の様子です。
いくつか誤字があったのを、読者から指摘されました。反省。
月別アーカイブ: 2014年11月
新しい東北、先導モデル事例
「新しい東北」先導モデル事業の一つに、「保育所を活用した生活不活発病防止食事受け取り事業」があります。復興推進委員会に出した「資料1-1」では、p44です。高齢者の自宅へ食事(弁当)を配達して支援する事業は、多くの地域で行われています。今回の事業は、宅配するのではなく、保育園まで食事を取りに来てもらうのです。それによって、家に閉じこもることなく外出してもらう、そして幼児と交わってもらうことを狙っています。これは、日本栄養士会等の提案です11月11日に岩手県野田村で行われた例は、岩手日報で取り上げられました。11月12日付け「仮設高齢者と温かお昼ご飯 野田村保育所」。
原発避難区域、住民意向調査
国会、復興特委の活動
報道によると、世間では衆議院の解散が取りざたされています。復興庁は、そんなこととはお構いなしです。17日月曜日には、衆議院復興特別委員会が、宮城県と福島県の2班に分かれて現地視察に行きます。参議院では、復興特別委員会が開かれ質疑があります。
ということで、金曜夜は、職員が作ってくれた委員会質問の答弁案を確認しています。また、視察に同行する予定でしたが、無理なので、別の職員を派遣します。
豊かな社会が生むリスク
11月20日の朝日新聞、神里達博さんの「月刊安心新聞。不安の源、豊かさを求めた末のリスク」から
・・いつの頃からか私たちは、新聞を開くと不安になるようになった。この夏以降だけでも、目を疑うような記事がいくつも思い出される。
住宅街が土石流にのみ込まれ、行楽客でにぎわう火山も噴火した。動機不明の犯罪が多発し、近隣諸国との不協和音も収まる気配がない。景気回復の実感は庶民に届かぬまま、国の借金だけは増え続ける。夏にはデングがやってきて、さらには、ずっと凶悪なエボラが越境の機会をうかがっている。
これらは、ジャンルも異なるし、深刻さもまちまちだが、いずれも私たちに不安を引き起こすことだけは間違いない。そんな気がかりなニュースが絶え間なく届けられる毎日。いやもちろん、それは新聞に限らない。およそ現代のメディアは、「安心」とは縁遠い存在なのだ・・
・・社会が変化していく理由は、単純ではない。だからどんな説明をしてみても、言葉はどこかしっくりこない。それでもあえて文字にしてみるならば、不安の大本の原因は、私たちの生きる世界が、複雑に絡み合い過ぎたこと、といえまいか・・
・・しかし、物質的に豊かになってくると、人は徐々に新しいモノを望まなくなる。それよりも、獲得した幸せが失われることを、恐れるようになる。築いた富が奪われる可能性、キャリアや名誉を失う可能性、自分や子孫の健康が損なわれる可能性、そういう「リスク」に注目が集まるようになってくる。そうやって不安なニュースも増えていくのだ。
このように、豊かさを求めた結果新たなリスクが生じ、また豊かであるがゆえにリスクが気になる、そういう現代社会のありようを、ドイツの社会学者ベックは「リスク社会」と名付けた・・
私は、拙稿連載「社会のリスクの変化と行政の役割」月刊『地方財務』(ぎょうせい)で、現代社会のリスクを論じました。特に、第3章(2011年1月号)で、「新しいリスクはなぜ生まれるのか-豊かさの影」では、次のような項目を立てました。そして、科学技術の発達が新しいリスクを生むだけでなく、豊かな社会が新しいリスクを生むことを指摘しました。
1 新しいリスクとは何か
2 科学技術が生む新しいリスク
3 豊かな社会の新しいリスク
なお、この連載は、2011年4月号で中断しています。リスクを論じる立場から、その対応と復興に従事する立場になって、時間がとれなくなったのです。