内閣は、新しく「まち・ひと・しごと創生」(地方創生)に、力を入れています。各地域での人口急減と超高齢化という課題、これは一地域の問題でなく、日本全体の問題になっています。ところで、東日本大震災で大きな被害を受けた地域は、少子化、高齢化、産業の空洞化のいわば「先進地」です。
「復興」と聞くと、インフラや住宅等の復旧を思い浮かべますが、インフラを復旧しただけでは、この地域では、まちの賑わいは戻りません。「産業・生業の再生」と「コミュニティの再建」が、必要なのです。そこで復興庁では、この2つの復興に力を入れています。しかしこの2つの目標は、従来型の行政手法(官によるモノ作りや補助金配分、法改正)では、成果が出ません。必要なポイントは、次の通りです。
1「民が主体」=行政は、産業(企業)を運営できません。行政が支援している限り、産業は自立しません。コミュニティは自立しません。
2「モノでなく知恵の支援」=中小企業に不足しているのは、知恵やノウハウです。
3「必要なのはお金でなく人」=企業を興したり、新しいことに取り組むのは、熱意を持った人材です。元気な若者、外部人材、変わり者です。しばしば「若者、よそ者、ばか者」と言われます。
4「官ができることは、これらのコーディネイト」=「支援を必要とする人」と「支援できる人」を結びつける機能が重要です。もちろん、役所が自ら行うのではなく、そのような場を作り応援することでしょう。
復興庁では、「新しい東北の創造」という言葉で、新しいかたちでの地域振興に取り組んでいます。切り口(柱)は5つです。子ども、高齢社会、エネルギー、回復力、地域資源です。手法は、官と民との連携、専門家の派遣、地域での先導的な取り組みの支援、被災地企業への大手企業のノウハウの支援などです。
これまでの箱物や補助金行政では、必ずしも地域の振興に成功しませんでした。これまでとは違った手法が必要なのです。「新しい東北」の取り組みは、地方創生の先駆けになっていると考えています。
11月6日に官邸で開かれた「まち・ひと・しごと創生会議(第3回)」で、小泉政務官(地方創生担当兼復興担当)が、「地方創生に関する現地視察と東北被災地の復興から学ぶべきこと」を報告されました。資料のp5と6が、「新しい東北」関係です。特にp6では、人が重要だという視点から、事例と中心となっていただいている人を載せてあります。