アメリカは、中間選挙の年です。日本では、イギリス、フランス、アメリカなどを民主主義の先進国、お手本になる良い国として紹介することが多いです。しかし、どこの国でも、人間の基本は変わりません。政治や国会、選挙は、各人の欲望と理想が交錯し、戦いの場です。教科書に書いてあるようには、いきません。
東京財団が、現代アメリカ政治を、継続的に報告しています(2014年アメリカ中間選挙)。「強烈な現職不信を背景とする連邦議会上院選挙の動向」から。
・・アメリカ合衆国連邦議会の仕事ぶりに対する近年の支持率は、10%台という空前の低さである。そういう中でも、連邦議会下院は、区割り操作のお蔭で、議員の再選が安泰な選挙区が多い。これに対して連邦議会上院は、州が一つの選挙区なので、国民のムードの逆風をもろに受けることになる。このため2014年中間選挙では、多数の現職上院議員の再選が危ういか、または引退に追い込まれている。6年任期の連邦上院議員は、2年おきに全体の約3分の1が改選されるが、2014年が改選期の議員は民主党が多いため、多数党の座の維持が危ぶまれている。
連邦議会への信頼・不信に関する世論調査データをみる際のポイントは、連邦議会全体への評価と、地元選出の議員への評価を分けて捉えることである。一般的に、地域の利益代表としての地元議員は支持、連邦議会全体は不支持という二重構造がみられる。
ギャラップの調査(8月公表)では、連邦議会下院の地元議員が再選に値するという回答は、2014年については50%であるのに対し、連邦議会議員全般については19%にとどまり、地元議員と比べて31ポイントも低い。
2014年中間選挙の特色は、本来は有権者に愛されているはずの地元議員への不信感が、平年値を大きく超えるレベルに達していることだ。上述のギャラップ調査の50%という数字は、1992年以降では2010年の46%、1992年の48%に次ぐ低さである・・