2つめは、「震災復興における支援アプローチ調査」です。
被災して、なくなった町を復興するには、道路をつくり家を建てただけでは、町の暮らしは復興しません。住民達が自らどのような町を作るか考え合意する必要があります。国や県が街並みを作って「はい、できました。入居してください」と言えば簡単でしょうが、それでは住民は満足しません。施設に入ってもらうのではないのです。
そこには、住民による合意形成の過程と、できあがった町の運営があります。自分たちの町か、あてがいぶちの施設かの違いです。町はできあがった建物(写真に写るモノ)ではなく、暮らしている住民が作り続けるプロセス(住民の活動)です。
・・復興とは、被災した人々が失った力を取り戻し、自らの手で新しい日常をつくりなおしていくプロセスである。支援者は支援者でしかなく、復興は住民自身の手によって成し遂げられる必要がある。本調査ではこうした前提に立ち、震災から3年目を迎えいよいよ本格化する東日本大震災の被災地において、復興への支援アプローチがいかにあるべきかという観点から行ったもので、住民の合意形成組織を対象に実施した。
「復興まちづくり」という概念は、ともすればハードの設計と建設、あるいはスピードとボリュームだけが注目される「まちの再建」に、議論と合意形成による住民参加のプロセスをより色濃く意味づけたものである・・(p3)
阪神・淡路大震災時の経験を活かした、調査です。
調査対象の6か所ごとに、住民組織の範囲やありようも違います。また、これらに特徴的なのが、NPOや大学などの団体や復興支援員が、支援に入っていることです。住民の意思が必要ですが、それだけを待っていては、うまくいきません。市町村がどのような支援をするか、支援団体や支援員がどのような支援をするか。よい事例を積み上げ、その他の地域に展開することが重要です。
これらの調査結果と報告された課題を、どのように解決していくか。国が法律を作ったり通達を出せば解決する問題ではありません。地元自治体や町内会にこの問題を認識してもらい、NPOの力も借りて解決していきます。
ダイバーシティ研究所、3県の連携復興センター、そして支援してくださった日本財団に、お礼を申し上げます。