6月10日に、産業復興創造戦略を取りまとめました。
これまでまずは、住宅再建とインフラ復旧に重点を置いてきました。まちづくりに徐々にメドが立つと、次に産業と生業の再生が大きな課題になります。産業の復旧については、これまで、緊急融資、中小企業グループ化補助金、仮設店舗・工場の貸し出しなどが効果を発揮しました。中小企業庁などが、これまでにない支援をしてくれました。
おかげで、施設設備の復旧は進みました。しかし、失った販路を回復できない(休業中に他の会社に取引先を奪われた)、これまでの製品では発展できないなどの課題が見えてきました。ハード(施設設備)の復旧だけでは、限界があるのです。そこで、本格的な産業復興と地域経済の再生のために、次の手を打つ必要があります。もちろん、津波被災地で高台移転するところや原発事故避難区域では、まだ施設設備の復旧もできていません。
今回作った「戦略」では、「域外から所得を得る産業」と「地域の暮らしと雇用を支える産業・生業」とにわけて、重点的に進める分野を示しました。この分類は、皆さんにわかってもらえると思います。
ただし、産業の担い手は民間の事業者であって、国や県が直接事業をするわけではありません。このあと、産業界などの協力を得て、進めていきます。
その際に、次の手として、どのようなソフトの支援ができるか、ここが難しいところです。担い手である事業者をどう育てるか、不足しているノウハウや取引先情報などをどのように応援するか。アドバイザーやマッチングが重要になります。担い手にしろ支援にしろ、お金では解決できず、「人」が鍵になります。モノでなく、人や関係なのです。行政の手法が試される局面です。でも、このような実践的な話は、これまでの行政学の教科書には載っていませんね。