・・かつて自民党の1党優位が続いた時代、野党の役割はもっぱら政権を批判することにあった。平和と民主主義の名の下に、野党が原理的に政権政党をチェックする一方、具体的な政策変更は、かなり立場に幅のある与党内部の諸派閥から首相を出すことで実現した。それはそれで、よくできた仕組みであった。
ただし、その大前提には、米ソの冷戦構造と高度経済成長があったことを忘れてはならない。政治経済体制をめぐる明確な対立がある一方、成長の果実を日本社会全体に配分していくことが重要な課題であった。そのような時代に適合していたのが、自民党1党優位下の与野党関係であった。
これに対し現在、世界をめぐる情勢は複雑化を極めている。経済的利害に、ナショナリズムや宗教的対立が加わり、単純に白黒を決められないのが現状である。その一方で、日本国内では少子高齢化が進み、財政危機が深刻化している。成長の果実を配分するどころか、いかにリスクと負担を国民間で配分するかが、緊急の課題である。
だとすれば、そのような時代に適合した政治の仕組みを作っていくしか道はない・・