自民党復興加速化本部の大島理森本部長が、今日、衆議院議長に選出されました。
大島本部長には、自民党が政権復帰し、加速化本部長に就任されて以来、お世話になりました。あの厳つい雰囲気で、皆さんだまされます(本人もそれを楽しんでおられるようです)。週刊誌などでは、「悪代官」と書かれていますが、やさしい方です。呼び出しを受けて説明に行くと、地元や省庁の意見を、じっくり聞いてくださいます。また、被災地にも何度も足を運んで、実情を見てくださいました。その上で、的確な判断を下されます。ときには、テーブルを叩くという「演技」もなさいますが(苦笑)。
本部長就任直後、2013年1月ごろのことです。「全勝統括官、まずしなければならないことは何かね」とのご下問がありました。「あれもこれも・・・」と説明したら、一喝されました。「優先順位の高いのは何か」「被災者は何を望んでいるのだ」と。「そりゃ、住宅ですわ」と申し上げたら、「年内に、住宅を完成させよ」とのご指示。「3年目の冬を、仮設住宅で越させてはいかん」。
「無理です」と答えたら、なぜかを説明させられました。納得してもらうと、次には「年内に、住宅のめどを立てよ。避難者に、いつ頃どこに入居できるかを示せ」との指示でした。これが、与党の第1次提言「復興加速化のための緊急提言~震災三年目の冬を希望持って迎えるために」です。
復興庁はその提言を元に、関係省庁や自治体と一緒になって、何よりも住宅再建を優先し、予算も職員も作業も、ここに投入しました。逆に、公園や箱物、集団移転跡地整備などを後回しにしました。批判も受けましたが、私は正しかったと考えています。
もう一つは、原発被災地復興の方針転換です。民主党政権時は、「避難者全員に一日も早く帰還していただく」というのが、政府の方針でした。しかし、時間とともにわかってきたのは、放射線量の高いところは当分の間、帰還は困難だということです。大島本部長の判断は、「避難者を、いつまでも、不安定な状況に置いてはいけない」でした。これが、第3次提言「原子力事故災害からの復興加速化に向けて~全ては被災者と被災地の再生のために」です。すなわち、早期に帰還できる地区や人には、それを急ぐこと。帰還を待つ人には、そのための住宅を建てること。そして、新しい生活を選ぶ人には、その支援をと、大きく3つに分類して、支援の方向を打ち出していただきました。これもまた、大きな政策変更でした。
政府・行政は、一度決めた決めた方針に沿って、平等・一律に政策を進めます。方向転換や、優先順位を付けることが不得手なのです。そこを、与党・政治主導として、補ってくださいました。
衆議院議長に就任され、自民党復興加速化本部長は外れられます。この2年余りの間、政府与党一体の政策遂行、政治家と官僚の協働と役割分担の見本を、示していただきました。ここに書けないことも多いですが、その一端を皆さんにお見せしました。感謝を込めて。