2月7日の読売新聞連載「仮設住宅は今」は、「運営に不満、自治会危機。窓口消え、遠のく支援の手」でした。
仮設住宅での自治会が、住民の不満によって解散した事例が、取り上げられています。会計や集会所の使い方を巡って、不満が出て、自治会長が辞任し、自治会が解散しました。すると、ボランティアの支援が途切れ、炊き出しや催し物が開かれなくなり、近所づきあいの機会が減りました。
自治会は住民が自主的に作る組織ですから、市役所や外部の者が作るわけにはいきません。作る際や運営について、応援することはできますが。
石巻市内には、133の仮設住宅団地があり、約40には自治会があります。しかし、3か所では、自治会が消滅しました。
引きこもりや孤立死を防止するには、近所づきあいは、大きな機能を発揮します。でも、自治会を作り運営すること、また、なるべくたくさんの人に参加してもらうことは、そう簡単ではありません。
仮設住宅を造ることや、復興公営住宅を造ることは、行政は得意です。しかし、人と人のつながりを作ることは、限界があります。拙著『新地方自治入門-行政の現在と未来』で、豊かな社会を作ることに成功した地方行政の目標が、「モノを増やすこと」から「関係を充実すること」に変わること、そしてそれはお金で買えない、お金で作ることができないことだと指摘しました。その一つの実例です。自治体や住民、そして支援に入っているNPOが、試行錯誤を続けています。