国交省が、公共工事の労務単価を引き上げました。現場での単価が上がっているので、それを反映するためです。
労務費や資材費が値上がりして、公共工事を発注しても(設計段階では値上がり前の安い単価で積算しているので)、予定価格では落札されない事例が出ています。素早い対応に、感謝します。
今回は値上げ幅は、全国平均では7.1%、被災三県平均では8.4%です。しかし、昨年春にも大幅に引き上げているので、平成24年に比べると、全国では23%、被災三県では31%もの引き上げになります(参考資料p1)。
2年間で3割もの引き上げとは、それほど、市場での労務費が上昇しているということです。背景には、工事量の増加と、それに追いつかない職人さんの不足があります。建設労働者数は、1997年の685万人から、2012年の503万人に減っています。4分の3です。そして、資材と違って、職人さんは直ちには増やせないのです。特に、型枠工や鉄筋工です(p3)。
もっとも、これだけ引き上げても、平成12年の単価に戻っただけです(p2)。すなわち、この間の工事量の減少と、日本全体の給料の減少で、10年以上にわたって、賃金が下がっていたのです。日本のデフレが、よくわかります。
ただし、なり手が少なく、高齢化が進んでいます。この問題は、解決していません。この点については、3日の読売新聞「増える工事、減る若手職人」が解説していました。