御厨貴先生が、『知の格闘―掟破りの政治学講義』(2014年、ちくま新書)を出されました。2011年9月から12年2月まで、6回に分けて行われた、東大最終講義の記録です。
いや~、おもしろいです。といったら失礼になりますが、先生は許してくださるでしょう。一気に読み終えてしまいました。
先生による、40年近くに及ぶ学者生活の「自叙伝」です。次のように、先生のこれまでの活動が、整理されています。
1 権力者の素顔に迫る―オーラル・ヒストリー
2 政治の最前線に躍り込む―公共政策
3 近現代からの現場中継―政治史
4 進撃!歴代首相邸へ―建築と政治
5 同時代とのバトル―書評と時評
6 映像という飛び道具―メディアと政治
本業の政治史にとどまらず、いろんな分野で活躍されたことがわかります。単に研究書だけで政治に接近するのではなく、また大学の研究室に閉じこもっているだけでなく、さまざまな切り口・接近方法があることを身をもって示されたのです。
そして、一貫して流れているのは、日本の現代政治をどうみるかです。「政治学の教科書や研究書は難しくて」とか「新聞や週刊誌の政局ものは内容がなくて」とご不満の方、ぜひお読みください。おもしろいですよ(繰り返し)。
また、帯についている先生の似顔絵が、秀逸です。カバーの写真は温和なお顔ですが、似顔絵はエネルギッシュな先生を良くとらえてあります。よく見たら、黒鉄ヒロシさんのイラストでした。