また、古い話で、恐縮です。4月17日の朝日新聞オピニオン欄「起業は日本を救うのか」、猪子寿之・ウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」代表の発言から。
・・政府が成長分野を決めて起業させていくなんて、絶対できない。未来の方向が大まかにわかったとしても、ビジネスとして成り立つかどうか誰にもわからないからね・・
これだけ経済のグローバル化が進むと、一国の小手先のテクニックのような金融政策が、効果を永続できるはずがない。閉塞した社会構造を変えるイノベーションこそが、経済を成長させる唯一の処方箋でしょう。しかしイノベーションは政府の音頭で生まれるものではないし、業界の中枢とは少し離れたところから創業した人たちが起こしている。
それでは政府に何ができるか。立派な成長戦略を描くより、何事にも挑戦できる寛容な社会をつくることです・・
年別アーカイブ:2013年
経済同友会での講演概要
原発事故の検証、政府事故調報告簡略版
畑村洋太郎ほか著『福島原発事故はなぜ起こったか―政府事故調核心解説』(2013年、講談社)を読みました。
この本は、政府事故調査委員会の「中間報告」(2011年12月)と「最終報告」(2012年7月)を基本に、一般読者にもわかりやすく解説したものです。著者は、調査員会の委員長だった畑村先生ほか、委員会の中心メンバーです。
中間報告と最終報告は、あわせて1,500ページ、8センチの厚さです。私も、読むのは断念しました。
今回の『核心解説』は、読みやすく、わかりやすいです。200ページの薄さです。東電、政府、自治体が、事故に際してどのような行動を取ったのか。事故はなぜ起こり、被害が拡大したのはなぜか。それから何を学ぶかが、わかりやすく解説されています。
私は、発災以来、大震災にかかわってきましたが、原発事故の担当ではなく、また詳しく勉強もしてきませんでした。この本を読んで、いくつか思い違い(水素爆発が放射性物質を飛散させたとか)を訂正することができ、また想像していたことがその通りだったと確認できました。お薦めです。
(主な目次)
第2章 福島第一原発で起こったこと(津波襲来から電源喪失までの経緯、事故は避けられたのか).
第3章 政府と地方自治体の失敗(事前対策の不備、政府の緊急時対応の問題点).
第4章 東京電力の失敗と安全文化
第5章 なぜ被害が拡大したか(避難がもたらすもの、除染は可能か)
第6章 福島事故の教訓をどう生かすか
原発事故を、防災と起きてからの対処の観点から見ると、次のような場面に分けることができるでしょう。
事前にあっては、規制と事故が起きたときの準備が十分だったか。
事故が起きたときは、発電所内で直ちに事故を終わらせること(原子炉を止め、放射能を出さないこと)と、発電所外では住民や国民の安全を確保すること(事故情報の開示と住民の避難誘導)です。
その後は、発電所内では安定化と廃炉、外では除染など事故の処理と復興です(避難者の支援とこの復興が、私の仕事です)。もちろん、検証と責任の所在の解明と、今後への教訓のまとめと対策が必要です。
がれき処理の前と後
現地でのがれき処理の「処理前と処理後」が、わかりやすい写真で見ることができます。環境省のHP「写真でわかる処理の進捗」。この写真は集積所での処理の様子です。上から2つめの「宮城県牡鹿郡女川町石浜字高森」の写真はお勧めです。下の印を右に動かすと、がれきが片付けられ、冷凍庫が建つのがわかります。
被災直後に、町の中にあるがれきが、どのように片付けられたか。その前後の写真を撮ってくれた職員がいました。被災者生活支援チームのHP「災害廃棄物の搬出状況」。これも優れものです。ここから運び出されたがれきが、上で説明した集積所に集められたのです。
どんな説明文章より、写真2枚の方がわかりやすいです。
企業の本業を生かした貢献、マイクロソフト社
様々な企業が、復興に貢献してくださっています。先日、日本マイクロソフト社の幹部の方と、お話しする機会がありました。マイクロソフト社は、発災直後から、いろんな支援をしてくださっています。本業を生かしたものとして、次のような支援があります。
・NPOや企業に、無償で製品(ソフトウエア)を提供
・救援活動を行うNPOに、避難者や物資の管理をするソフトを提供
・被災企業に中古パソコンを提供
このような製品の提供の他、技術を教えるという支援もあります。すなわち、NPOと協力して、被災者にITスキルを教え、就労を支援しています。これで、851人が修了し、求職中の人は462人、就労した人は193人だそうです。現地では雇用のミスマッチが課題になっているので、これは効果的な対策です。今や事務職の応募用紙には、ワードとエクセルができることは、必須のようですから(私は「一太郎」ですが)。
「成果と意義」に次のように書かれています。
・・私たち日本マイクロソフトは・・2 つのことを学びました。
1 つは、復興支援においては、地域をよく知る NPO の皆さんをしっかりと支えることが重要だということです。地域の NPO が自治体、事業者、団体と連携した結果、地域コミュニティに活気が生まれ、プロジェクトに広がりが生まれたのです。
もう 1 つ学んだこと、それは見えない成果を見える化することの意義です・・こうした NPO との協働による企業の社会的責任活動が、事業価値と社会目的価値があることを証明できることによって、意義を広く社会に認識していただくことに期待がかかります・・
このように、自治体、NPO、被災企業などと連携して、本業を生かした支援をしてくださっています。ありがとうございます。紹介が遅くなりました。
モノなどの支援やモノへの支援(ハードへの支援)でなく、このようなノウハウの提供や昨日紹介したスポーツ選手による「教室」(ソフトへの支援)は、見えにくいのです。上手にPRしたり、記録する必要があります。