11月時点の全国の避難者数を、公表しました。総数で27万8千人です。最近は、毎月約4千人程度、減少しています。残る避難所は1か所で、15人です。
この調査には、全国の自治体の協力を得ています。ありがとうございます。
月別アーカイブ: 2013年11月
いろいろな職場に導入できるカイゼン
11月23日の朝日新聞経済欄に、「病院もカイゼン」という記事が載っていました。
「トヨタ生産方式」は、各現場で仕事の無駄を省くカイゼンを積み重ね、効率の良い生産や経営を目指すものです。これが、医療現場に導入されているのだそうです。
記事に出てきた病院では、患者が入院してきて手術をするまで(病室に案内されてから、説明を受け、術前処置が終わるまで)の待ち時間を、平均163分から26分に短縮しました。すごいですね。また、救命救急センターの6つの処置室ごとに、ばらばらだった注射針やチューブなどの置き場所を、物品ごとの名前を書いた2つの箱に入れ整理しました。これで在庫が一目でわかるようになりました。
まだまだ、他の分野でも、カイゼンを導入できそうです。
NPOと企業の復興協力、3
また、次のような発言もあります。
宮城:プロボノの派遣制度を構築されようとしている企業の方にも、これから挑戦しようという個人に対しても、大きな励みになりますね。去年、イギリスのロンドンに伺った時に、PwCの方が「災害や課題解決の現場に若い社員を連れて行くのもいいが、私たちはマネジメント層を送り込んでいる」と話していました。マネジメント層の意識が変わることは、組織に与える影響が非常に大きい。彼らを現場に送り込むことで視野が広がり、仕事に対する価値観を大きく進化させることになるのだと聞いて、なるほどと 納得しました。そういう意味では、マネジメント層の方にも入っていただく機会を作りたい と思っています・・
ご指摘の通り、仕事を進める上で、マネジメント層の働きも重要です。第一線で働く職員(いわゆる兵隊さん)を増やしただけでは、仕事はうまく進みません。彼らに指示を出し、導いていく中間管理職が必要です。現場で次々起きる問題や新しい課題を、ひとまず判断して処理する中間管理職です。この機能がないと、せっかくの多くの職員も烏合の衆になり、問題は全て本社の責任者に上がってきて、組織は動かなくなります。
NPOと企業の復興協力、2
「なぜ今、企業がNPOのリーダーシップに注目するのか?グローバル・ビジネスリーダーとNPOリーダーの対話から」の続きです。
宮城:現地に入っていきいきと活動されている方にふれることで、私たちも勇気づけられますね。「右腕」の方々が東北に入る前後で、人間として進化していると感じるほどに変化することもあります。困難を克服して何かを掴むプロセスは、何物にも代えがたいと感じます。私が企業経営者だったら、社員にそういう成長をしてもらいたいし、そういう人を採用したいと思うでしょう・・
日色:NPOのリーダーは、リーダーシップのあり方としては最も難易度が高いと思うのです。なぜなら、企業でははっきり決まっているルールやゴールが、NPOでは曖昧だからです。例えば、企業には権限構造があるので、上下関係が非常にはっきりしています。また、売上や利益など、評価尺度も明確です。一方でNPOのリーダーは、権限ではなく、ビジョンで人を巻き込まなければならないでしょう。リーダー自身に人間的魅力があることが必要ですし、情熱をもって真摯に仕事に取り組まなければ、同じ志をもった仲間は絶対についてこないと思います・・
日色:やや大きな話になりますが、NPOのリーダーシップには、グローバルに活躍するビジネス・リーダーに求められる要素がたくさん含まれているのです 。今日のグローバル企業はフラット化していて、一ヶ所で全ての物事が決まることはなくなりつつあります。例えば私は日本を担当していますが、グローバルやアジア・パシフィックなど様々なレイヤーのステークホルダーを巻き込みながら、ひとつひとつの意思決定をしているわけです。
そうなると、意思決定に関わる人が、自分の部下ではないということが往々にしてあります。ラインが異なるところでも、一つにまとめて動かしていかなければならない。これが中々難しいのです。そうなると、権限で人をひっぱるのではなくて、ビジョンと人間的魅力でものごとを動かすリーダーシップが重要になってくるのです。ますます複雑化する組織の中で、ビジネスパーソンがリーダーシップを発揮するために、現地で活動するNPOから学ぶことは非常に多いと思います。これが、私がプロボノに個人的に興味をもっている理由です・・
指摘の通り、企業や役所のように、権限と職責が階統制になっていて、目標や規則も明確な組織内でのリーダーシップと、そうでない集団(政党、NPO、同好会など)でのリーダーシップは、異なります。さらに、その組織内の職員を動かすことと、組織外の関係者を動かすことは、これまた大きく異なります。取引先なら、利害関係で動かすことはできますが。政府の責任者が、国会、他の政党、マスコミ論調、そして国民意識を動かすことを、考えてください。
景気は気から、皆で縮こまると世界が小さくなる
11月24日の朝日新聞「ベア検討、4社のみ」から。全国の主要100社への調査結果です。
企業の利益が増えています。その利益を、どこに振り分けようとしているのか、の回答です。設備投資が53社、従業員への還元が52社です。今年1~3月の政府の「法人企業景気予測調査」では、内部留保が6割で、従業員への還元は回答の6番目だったそうです。企業の意識が、はっきりと変わってきています。
新聞の見出しでは、企業が消極的な態度かと思わせますが、記事の内容は逆です(見出しの付け方に、難がありますね)。
この変化は、「景気は気から」と「合成の誤謬」で、説明できます。これまでの日本では、新興国の追い上げ、海外への生産の移転、デフレの下で、企業はコストカットの1つとして、国内での職員と給与の削減を続けました。他方、景気が良くならないと見通して、設備投資に消極的でした。そして、利益が出ても、内部留保にとどめたのです。各企業としては、正しい選択です。しかし、多くの企業がこの方針を続けると、
給与削減→消費者が使うお金が減る→消費が冷える→売れないと見越して企業が設備投資を控える→景気が悪くなる→給与を削減する→(繰り返す)となります。
企業が儲からなくて、内部留保がないなら、企業は倒産し、もっと深刻な事態になります。ところが、企業の業績は上がっているのです。すると、先ほどの悪循環・負のスパイラルを、好循環・成長のスパイラルに変えれば、良いのです。
みんなで、「これから景気は良くなるぞ」と思い、給料を増やします。すると、消費が拡大し、設備投資を増やす判断ができます。それがまた、景気を良くします。儲かったお金を貯め込んでいては、会社も発展しないし、経済も大きくなりません。お金は、使ってこそ、生きるのです。
もちろん、この解説は、ごく単純化したものです。例えば、売れない商品に設備投資しても、その企業にとって良い結果にはなりません。