NHK取材班著『職場を襲う「新型うつ」』(2013年、文藝春秋)を読みました。
うつ病で休職している社員が、元気にマラソンを完走したり、遊んでいる姿を自らインターネットに公開している。自宅休養中に海外旅行に行って連絡が取れない。うつ病で休んでいる職員が、東京ディズニーランドの会社の福利厚生割引券を申請してきた。ある日突然、うれしそうな表情で「うつ病」と書かれた医師の診断書を提出して、休暇を申請する。
職場のルールを守れないのに、自分を被害者だと思って、社内コンプライアンス窓口や労働基準監督署に訴えて、職場の上司を振り回す。二日続けて遅刻したことを注意したら、パワハラだと訴えた。仕事ができなかったのは、このパソコンが悪いからだ。誰々さんが教えてくれなかったからだと、他人のせいにする。
できない職員なのに「自分はできるのに、上司が評価してくれない」と周りのせいにする。職員が休むと、その母親がやってきて、「本人は連絡を取りたくないと言っているので、私と連絡を取ってください」という。自分の息子が悪いとは絶対言わない・・。
このような「新型うつ」が、若手職員に増えているのだそうです。新型うつで休職した若手職員をカバーするため、労働が増えて、上司や同僚が「従来型うつ」になるという、笑えないことも起きています。
「私の職場にも、そんな職員がいるわ」と思い当たる方、あるいはまだそんな職員がいない方でも、必読の書です。
「この人の場合は、本当に大変な病気だな」と思えるケースがある反面、「これは単なるズルじゃないのか」と思うような例もあります。読み終えて、複雑な気持ちになります。
出てくる事例は、若手職員に多いようです。また、この本では取り上げられていませんが、外国ではどうなのでしょうか。