アメリカ政府の債務上限額を引き上げることと、新年度予算を巡って、大統領・民主党対共和党が対立しています。ニュースが大きく伝えています。
野党共和党が多数を握っている下院のベイナー議長(共和党)が、ここまで強硬路線を貫き、話合いが進みませんでした。しかし、債務不履行を回避するために、上院が主導して、与野党が打開策をまとめました。その過程を、17日の読売新聞は、次のように伝えています。
・・米議会は16日、上院の与野党トップ主導で危機回避策の合意に向けた協議が進んだ。下院で過半数を握る野党・共和党の指導部は、党内の強硬派に押されて妥協案をまとめられず、当事者能力を失った。予算を巡る危機を盾に取り、オバマ政権に妥協を迫る下院共和党の戦術は失敗に終わりつつある・・
・・共和党の下院議員232人のうち、強硬派議員は40~80人程度だ。それでも、ベイナー議長は党分裂を避けるために強硬派への配慮を続けた結果、現実的な妥協案を作れなかった。
オバマ大統領は15日の米テレビへのインタビューで、ベイナー議長が過去にも、大統領との交渉で合意しても、党内の反発で覆してきたと指摘し、「彼は党指導部をまとめられない」と突き放した・・。
「敵は後ろにいる」の好例ですので、紹介します。ベイナー議長の敵は、前にいる大統領と民主党でなく、自らの共和党内にいました。
月別アーカイブ: 2013年10月
国民の関心、復興は第4番目。原発が第1位
NHKネットニュース、15日配信の世論調査結果から。
・・6つの政策課題を挙げて、国が今最も力を入れて取り組むべきだと思うことを聞いたところ、「原発への対応」が22%、「景気対策」が21%、「社会保障制度の見直し」が18%、「東日本大震災からの復興」が15%、「財政再建」が11%、「外交・安全保障」が6%でした・・
調査の対象は1,602人で、回答は1,058人(66%)です。
支配者が秩序を維持するための法、市民間の関係を規律する法
村上淳一著『法の歴史』(1997年、東京大学出版会、UP選書。新装版、2013年)から。
・・明治の日本が受容した西洋法のなかでとくに重要な意味をもったのは、民法である。第一に、日本は律令制の時代に中国を手本とした成文法をもったが、その内容は刑法と行政法だけであって、民法は含まれていなかった。法は基本的に、支配者が秩序を維持するための手段であり、互いに対等な立場に立つ人々が相互の関係を規律するための民法を―少なくともその原型を―生み出すことはなかったのである。
第二に、明治以降の日本が手本とした西洋でも、ドイツやフランスのいわゆる「大陸法」諸国では、すべての法分野のなかで民法が最も長い伝統をもつものであった。「大陸法」の歴史は古代ローマに遡る。そのローマ法の主要部分を成したのは、ローマ市民(当初は大部分農民であった)が相互の関係を規律するために生み出した市民法(ius civile)であって、これが後の民法の出発点になったのである。日本法に始めから欠けていたものが西洋法では始めから中心的な意義をもっていた、と言ってもよい・・(p99)。
指摘されると、なるほどと思いました。
自主避難者への相談支援
原発事故によって、福島県から県外に自主的に避難している方が、たくさんおられます。この方たちが、避難生活から自立した生活に移行できるよう、NPOの力を借りて支援を行います。避難先でも、同じように行政サービスを受けることができるように、制度は作ってあります。さらに細かい相談に乗ることは、これまでもNPOがしてくださっていました。
今回、情報提供(避難元・避難先の情報提供、説明会の開催等)や、相談支援(相談対応、生活状況・ニーズ等の把握等)をしてくださる4団体を選び、4県で実施することにしました。
ネット報道と新聞との戦い
大治朋子著『アメリカ・メディア・ウォーズ―ジャーナリズムの現在地』(2013年、講談社現代新書)が、興味深かったです。
インターネットの普及でオンライン報道が大きくなり、新聞社の経営を圧迫しています。新聞社は、どのように生き残りをかけているか。大手新聞社(といっても、日本ほど大きくありませんが)が、有料記事との組み合わせ販売などで、ネットとの共存を試みています。他方、地方の小さな新聞社は、地域のニュースに特化し、またライバルである他紙とニュースの共有を試みます。NPOによるニュースや、調査報道の進化も、起きています。興味深い実例が、たくさん載っています。
インターネット報道と新聞との戦いであり、広告収入の奪い合いです。先進地アメリカでの事態は、日本でも早晩起きることでしょう。日本の多くの新聞記者さんは、既に読まれたと思います。
私は、新聞という活字媒体は、なくならないと考えています。ただし、事件の報道だけなら、テレビやネットの方が早く、かつビジュアルです。アメリカの新聞記事を、日本で読むことができるのも、魅力です。
分析という付加価値をつけることが、新聞のそして記者の役目だと思います。