原子力損害賠償紛争審査会で、新たな段階に向けての審議が始まっています(9月10日審査会)。
1つは、避難指示解除後の賠償です。
今後、避難区域が解除された場合、どの時点で賠償を終えるかについて、議論が始められました。避難指示が解除される地区が、これから出てくるからです。もちろん、避難指示が解除されるためには、線量が下がりインフラなどが復旧する必要があります。すでに、緊急時避難準備区域(広野町など)は、指示が解除され住民が戻りつつあります。この区域では、解除の11か月後に賠償が終わりました。
他方で、避難が長期化する地区もあります。また、戻らないという人も出ています。まず、新しい生活を選び、他の場所で住宅を建てる人に、どれだけの賠償をするかです。被災前に住んでいた住宅について、それぞれの固定資産税価格を基に、賠償の算定と支払いが進められています。そのお金を基に、新しい家を建てるか買えばよいのですが、その賠償金だけでは足らないことも多いです。参考になるのが、公共事業で移転してもらう際の補償です。
また、避難が長期化する地区では、新しい生活を始めるのか、どこかで待ち続けるか。その判断をするためにも、いつまで精神賠償が続くのか、新しい生活を選ぶ場合にどのような賠償をしてもらえるのかの情報が必要です。
9月10日の読売新聞夕刊は、「帰還困難区域について、戻れないとの前提で金額を算定し一括賠償を行う方向で一致した」と伝えています。
また、朝日新聞9月13日社説は、「除染・賠償、避難者に判断材料を」を書いています。
・・本当に自宅に戻れるのか。戻れるならいつごろか。戻れない場合や、新たな場所で再出発したい人は、どのような支援が得られるのか。
政府はこれらの点について全体像を示し、避難者が生活再建について判断できる環境を早く整えるべきだ・・
賠償の基準を決める政府の損害賠償紛争審査会は上積みする方針を打ち出したが、ほかにも課題は多い。
避難指示が解除された場合、いつごろまで賠償を受けられるのか。帰還困難区域など、なかなか戻れない場合の賠償をどう考えるのか。基準作りを急いでほしい・・