人事院の調査によると、2011年度の長期病休者(病気やけがで1か月以上休んだ)国家公務員は、5,370人、全職員274,973人の約2%でした。うち、男性が4,186人(全男性職員229,601人の1.82%)、女性は1,184人(全女性職員45,372人の2.61%)です。
原因で最も多いのは、「精神及び行動の障害」の3,468人で、約65%を占めています。この数は、1か月以上休んだ職員ですから、職場にはこの数倍の「心の病の職員」がいます。
月別アーカイブ: 2013年3月
被災地での企業とNPOの連携
3月12日の朝日新聞社説は、「被災地の復興、スモールビジネスを力に」でした。被災地の復興には、働く場が重要です。その際に補助金頼りでは、補助金がなくなると事業は終わってしまいます。小さくてもビジネスとして定着させる試みが、NPOの支援によって広がっています。そして、企業の持っている「能力」を活用することも、試みられています。
これは、官と企業と地元をNPOがつなぐ、新しい社会の試みでもあります。私たちが進めようとしている、官と企業とNPOと地元の連携です。
記事の中で、藤沢烈さんが、紹介されています。ぜひ、原文をお読みください。紹介が遅くなりました。
子ども被災者支援施策パッケージ
今日「原子力災害による被害者支援施策パッケージ」を公表しました。原発事故災害によって、健康不安や生活上の負担が生じています。それへの支援を行うことや、子どもの元気を取り戻すための施策が必要です。子どもの元気復活、子どもの健康・心のケア、子育て・生活環境の改善など、現在取っている施策と新年度予算に盛り込んだ施策を整理しました(概要)。
昨年夏に、議員立法で「子ども被災者支援法」ができました。この法律は、子どもを中心に被災者の生活支援を行うことを定めています。しかし、いくつも難しい問題があります。
まず、政府が避難を呼びかけていない地域から自主的に避難された方への支援をどう考えるかです。安心の水準は個人によって異なるので、多くの人が安全だと思っても、「私は不安だ」という方もおられます。それはそうでしょう。しかし、その方々を、国民の税金で支援すると、地元に残っている多くの人との公平性が問題になります。
マイケル・サンデル先生のテーマとなるような、難しい問題です。
今日の発表についても、「反対だ」という声もあります。ある方の主張は、次のようなものでした。
「例えば中通り(福島県中央部)から自主避難している人に支援を行うことは、中通りも危険だと言っていることにならないか。今回の支援施策を宣伝すると、中通りにすんでいる子どもが不安になります。
私のように強制的に避難させられ放射線が高くて家に帰ることができない者と、自主避難している人とは違います。」
次に、法律には、支援対象となる地域と放射線基準を定めることも、書かれています。政府は、20msV/年を帰還の基準としています。この基準でも、国際的な標準よりはるかに厳しい基準です。ところが、この法律は、この基準より厳しい数値で線を引けと定めています。国会での議論でその数値が決まらず、行政府で決めよとなっています。お叱りを覚悟で言うと、「多様な意見をまとめる国会で決まらなかった基準を、政府で決めよ」ということです。これはなかなか難しいです。
これは、国会と内閣の役割を考える、政治学や憲法学のテーマになるでしょう。
今回発表した「支援パッケージ」は、その基準を定めることより、支援施策を示すことを優先しました。
対象となる人と地域によって、施策は異なってきます。だから、一つの基準を決めなくても、関係する施策を類型化してお示しできるのです。
例えば、健康調査は全県民を対象とします。今回、避難しておられる方が、ふるさとを訪れる際の高速道路料金を無料にする範囲を広げました。これも、強制的に避難してもらった方と、自主的に避難された方では、対象地域と支援内容が異なります。施策によって、対象が異なるのです。
復興庁ホームページ
復興庁のホームページでは、いろいろな施策を紹介したり、かなりの頻度で統計資料を公開しています。
しかし、毎月の数字を見ても、復旧の進捗はわかりません。2年経ったので、発災以来の復旧・復興の道のりを、主な指標でわかりやすく示しました「東日本大震災からの復興に向けた道のり」。仕事をするには、巨視的な視点(鳥の目)と、微視的な視点(蟻の目)の両方が必要です。私は、性格的にも立場上も、鳥の目が好きです。
また、「復興に当たっての多様な担い手による連携事例」も、事例を追加しました。阪神淡路大震災が「ボランティア元年」と呼ばれたことと比較すると、今回の大震災は、「行政と企業とNPOの連携元年」でしょう。また、そうしたいと考えています。
そのほか、女性の役割が再認識されました。避難所で女性が活躍し、女性の視点が重要でした。避難所でプライバシーを守る配慮とか、まちづくりでの女性の視点とか。
これらも、放っておいても実現しないので、刺激や支援が必要です。でも、そんなに巨額のお金は、必要ないのです。彼ら彼女らの熱意を、「活用する」手立てを作れば、進みます。
そのほか、政府は、今回の大震災では、従来の災害対策と違った新たな対応をいくつもしています。その主なものについて公表していますが、今回その抜粋版を作りました。
それぞれ、資料を作ってくれた職員に、感謝します。でも、前例通りの仕事をしているより、新しいことに挑戦する方が楽しいでしょ。大変だけど。
ケア付き仮設
3月12日の読売新聞夕刊が、ケア型仮設住宅を解説していました。釜石市平田(へいた)地区の仮設住宅団地です。高台の運動公園に作られた、240戸の大団地です。
その一画60戸が、高齢者や障害者用に作られています。プレハブ住宅の間の通路に木製デッキが渡してあって、玄関を出るとデッキになります。すなわち、車いすで出入りできます。また、その上には屋根をかけてあるので、雨の日も大丈夫です。
そして、サポートセンターと診療所が、併設されています。このサポートセンターは、今回のヒット作です。ここでは民間企業が運営していて、朝夕に各戸を見回るほか、買い物代行や配食サービスも行っています。
3県で115か所作りました。新しい町がつくられる際も、この機能は必須です。記事にも指摘されているように、いろいろな課題もあります。行政だけで行うのには限界があり、住民の自助努力やNPOの協力が重要です。