目で見る「進む復旧工事」

平成24年度に建設した復興公営住宅のうち、東北4県で161戸が完成し、3月30日と4月1日に入居可能になります。今日、写真付きでそれをお知らせしました。仮設住宅で不便な思いをされている被災者にとっては、住宅への入居が一番待たれることです。各地で工事が進んでいるので、次々と住宅が完成します。
写真を見ていただくとわかるように、公営住宅といっても、よくあるコンクリートのアパート形式ばかりではありません。木造の戸建てや長屋形式など、地域にふさわしい建築になっています。
数字や表で見せることも重要ですが、写真の方がわかりやすいですね。
また、公営住宅を含め、インフラの復旧状況が、一目でわかるように、ホームページを作り替えました。復興庁のホームページのトップページ上に、「ここで見える復旧・復興状況」というバナーがあります。ここをクリックしてもらうと、「
復旧・復興の進捗状況ポータルページ」が出ます。そこから、各地域の住宅やインフラの復旧工程がわかるようになっています。また、「最近の着工式・完工式一覧 」をクリックすると、どんどん工事が進んでいる様子がわかります。
緑色の○の中に「復」の字が入っている印が、共通の目印です。
もちろん、ここまで来るには、住民の合意、計画づくり、用地の買収など、「下ごしらえ」の準備が必要だったのです。これまで、とかく「遅い」と批判を受けていましたが、それなりの準備に時間がかかったのです。3年目に入って、工事が目に見えたということです。

安定志向の若者

3月27日の日経新聞に、日米中韓4か国の高校生を対象とした、将来(進路と職業)についての調査結果が載っていました。財産法人、日本青少年研究所「高校生の進路と職業意識に関する調査」。
それによると、「起業したい」は、日本では6%、中国が31%、アメリカが19%、韓国が12%です。
日本の高校生の安定志向は、次のような項目でも明らかです。日本の高校生の志望第1位は公務員(20%)、第2位が教師(18%)、第3位が建築家やデザイナー(13%)です。アメリカでは、医師(30%)、建築家やデザイナー(24%)、スポーツ選手や俳優(19%)。中国では、起業家(31%)、経営者や管理職(27%)、建築家やデザイナー(26%)。韓国では、建築家やデザイナー(30%)、教師(28%)、経営者や管理職(27%)です。
「社会的に偉くなりたい」は、日本45%、中国89%、アメリカと韓国70%です。
私も公務員ですから、日本の若者を批判できませんが。

福島県飯舘村、ふるさと1億円の活用

読売新聞「時代の証言者」今月は、福島県飯舘村の菅野典雄村長です。寒村の条件の下、酪農を志し、他方で厚い志を持っておられたことが、回顧録として記されています。
飯舘村は、全村避難を余儀なくされています。3.11までは、充実した幸せな生活を送っておられました。最初に村長にお会いした時、「しっかりされた村長だな」と印象を持ちました。その後も、何度もご一緒していますが、私の尊敬する村長の一人です。
村長は、「村が一丸となって帰るのだ」という信念を、当初から持ち続けておられます。この連載には、その背景が、書かれています。例えば、「村おこし」のために、仮装大会の他、さまざまな取り組みをされたようです。3月25日の「世界から村を見なおす」に、次のような話が紹介されています。
村では、若妻たちをヨーロッパに派遣する企画を行いました。「若妻の翼事業」です。引き続き、「嫁・姑、キムチの旅」「心の翼、家族物語」と、若嫁から始まって、年配婦人、親子、おじいちゃんと孫が、海外旅行に行きます。それも、農繁期に行くことで、ありがたさがわかるようにという配慮もしてです。その人たちが、その後の村づくりの人材となります。すばらしいですね。
さらに、この企画が実現できたのは、竹下内閣が「ふるさと創生事業」として配った、「ふるさと1億円」があったからだそうです。
・・・あの資金は、金塊を買うなどの自治体もあって「地方の無駄遣いの温床」と批判されましたが、我々の村では、その後の地域づくりに大変役に立ったのです・・
ふるさと1億円」と聞いても、若い人は知らないでしょうね。昭和63年度(1988年度)の話ですから。四半世紀前の話です。このように役に立って、評価された自治体もあったのです。1億円があったとき、それを生かすも無駄にするのも、首長の識見です。
当時これを、自治省交付税課で担当した補佐が、椎川忍先輩でした。私はその後を引き継いで、平成2年から、地方債と交付税を組み合わせた「地域づくり推進事業」を担当しました。その頃の考え方は、『地方交付税-仕組と機能』に詳しく書きました。

復興推進委員会

今日お昼に官邸で、復興推進委員会を開きました。テーマと委員を新しくしての、第1回目の会合です。
新しい東北の創造」を、テーマにします。もう一つの柱は、復興の検証です。これまでは、復旧を主眼に置いていましたが、未来に向かって夢のある議論をしてもらいます。もちろん、東北地方、いいえ日本が、少子高齢化などの条件にあることは変わりなく、過疎僻地の条件の下でどのような未来を描くかは、そう簡単ではありません。有識者の知恵、現場の知恵を集めたいと思います。
いつものように「現状と課題」を更新したほか、「復興庁のこの3か月の取り組み」も参考資料として配りました。このホームページで書いている日々の作業を、整理しました。ご覧ください。
毎月のように、官邸で閣僚会議と有識者会議を開くのは、内容を用意することと、会議の庶務で、結構大変な労力が必要です。これだけ開催しているのは、霞が関の各府省でも少ないと思います。残業してがんばっている職員に感謝します。
と言いつつ、私の仕事は、「次回は、いつ開いて何を出すか」を考えることです。会議が終わったばかりなのに、次々と指示を出して、ごめん。