相手との関係を作る脳の力

千住淳著『社会脳の発達』(2012年、東大出版会)を読みました。出張の新幹線と宿は、本を読むにはありがたい時間です。
ヒトは、他人がいなければ生きていけない動物です。「社会」がなければ生活できない動物です。その社会行動を、脳神経から研究するのが、社会脳研究、ソーシャル・ブレインズ研究です。
他人と共生する際に必要な能力、それは相手の心を読むことだそうです。相手が何を考えていて、何をするのかを予測します。なるほど。
その際には、アイ・コンタクトや相手の視線がどこを向くかを読むことが、重要であること、自閉症者は相手の心を読むことが不得手であることなどが、実験によって示されています。いくつもなるほどと思うとともに、まだまだわからないことが多いこともわかります。
普段の生活でも、相手の心を読むことは重要ですよね。その先を読んで、当方の次の発言や行動を考えます。それが、円滑な会話や良好な関係を生みます。もっとも、間違った先読みをして、失敗することも多いですが。

かつて読んだ、藤井直敬著『ソーシャルブレインズ』(2010年、講談社現代新書)を思い出しました。手元のメモには、次のようなくだりが、書き留めてあります。
喜びも、他者との関係性の中で感じるもので、モノによって感じるものではない。
赤ちゃんは、他者との関係性がないと死ぬ場合がある。
意思決定とは、たくさんの可能性を絞り込むプロセス。ルールは、社会からトップダウン的に与えられるだけではなく、各個人がそれを受け入れ、咀嚼して脳内に取り込むことで成り立っている。
ルールは、社会というシステムとその構成要素である私たちの間で起きる相互作用によって維持、実行されている。各人が、ルールを受け入れる理由は、認知コストを少なくできるから。無限の可能性から選ぶというコストを、選択肢を狭めることで、少なくする。そしてそれは、社会の安定性を増す。
今回この記事を書くに当たって、確認しようとしたら、本が見当たりません。本棚にないということは、床に積み上げた山の中に埋もれているということでしょう。捜索は断念しました(反省)。

補正予算

今日15日に、補正予算が閣議決定されました。復興特別会計も、事業費が追加されました。総額は約3,200億円。
主なものは、津波被災地での住宅移転の支援(既存の支援制度に乗らないものについての支援)1,200億円、避難指示市町村における住民帰還の加速や区域の荒廃抑制のため200億円、震災等緊急雇用対応事業増額500億円などです。復興交付金事業などは、まだ予算が余っていること、現場では事業が消化されず繰り越されていることから、今回の追加はありません。
引き続き、平成25年度当初予算案を作成します。

雪の後遺症

予想通り、今朝の東京は道路が凍っていて、滑りやすかったです。我が家の前と、ご近所で夕べのうちに除雪してくださったところは、雪も氷もなく歩きやすかったですが、そうでないところはツルツルでした。朝出勤の際、階段を上ると、足腰が痛かったです。夕べの雪かきは、そんな重労働ではなかったのですが。普段使っていない筋肉を使った、ということですね。情けない。
ところで、先日の「内容の濃い1週間」を読んだ友人から、メールがありました。「内容が濃いとは、昼の仕事だけでなく、私たちを含め、毎晩飲みに行っているからですか?」と。うーん、痛いところを突いてきますね(苦笑)。異業種の方との「意見交換」は、勉強になると考えているのですが。
今週も、日曜から出張で、昨日は久しぶりに、バスの中で昼の弁当を食べました。一緒に行った職員曰く「バスの中での弁当は、落ち着かず、流し込んでいるようですね」。
そうですね。列車の中と違い、狭くて揺れるバスの中では、まずふたを置く場所がない、揺れるのでおかずやご飯をこぼさないようにしなければならない、もちろん醤油や天ぷらのつゆをかけるなどは危険、お茶は後で飲む・・。ブレーキがかかったり、カーブを曲がると、大変です(苦笑)。気分だけでなく、健康にも良くないですね。

宮城県視察、観光ホテル

今回は、南三陸町のホテル観洋に、泊まりました。これまでも、南三陸町に行くときには、このホテルの前を通っていたのですが、泊まるのは初めてです。沿岸部の被災地では、施設が流され、復興事業関係者で、常に宿泊施設が不足しています。で、遠慮していました。女川町にできた、トレーラーハウスの宿泊施設にも泊まってみたかったのですが、日程の関係で断念。
ホテル観洋は、244室、1,300名収容の大ホテルです。海岸の崖の上に立っていて、眺めは抜群。施設も近代的で新しいです。もちろん、地元の魚介類の食事です。失礼ながら、松島や平泉といった著名な観光地でない南三陸町に、こんな立派なホテルがあるのが、不思議なくらいです。
女将さんに、いろいろとお話を聞くことができました。このホテルも、下の階は被災したのですが、早くに再開して、復旧関係者を泊めてくださいました。大震災前は東北地方のお客さんが多かったそうですが、今や全国区になり、世界から宿泊客が来ています。町の子どもたちも、これまでは町の中しか知らなかったのに、日本中、世界からボランティアが入ってきて、視野が広がったそうです。ホテルでは、ボランティア活動支援もしています。
夜、露天風呂に入りながら、少し灯りが見える市街地を眺め、ゆったりさせてもらいました。「朝日を見ながら」とも期待したのですが、今朝から雪でした。雪はどんどん激しくなり、視察の予定を変更。
東京に着いたら、家では10センチくらい積もっていました。家の前は雪かきをしましたが、明日朝の出勤が心配です。

福島県、宮城県視察、進んでいる事業

13日(日曜)14日(祝日)と、復興大臣のお供をして、福島県と宮城県に出張してきました。
福島県相馬市では、災害公営住宅の建設が進んでいました。木造の戸建て住宅です(平屋の例2階建ての例)。もうすぐ入居が始まります。昨年も行った観光いちご園では、大きな温室ができていて、立派でおいしいイチゴが、実っていました。この温室は復興事業で建てて、市が生産者組合に貸し出しています。かつてのビニールハウスは、津波で流されました。新しい温室は、水耕栽培で、腰の高さにプランターがあります。高齢者でも、腰をかがめずに作業ができます。
宮城県女川町と南三陸町は、市街地の大半が流されました。町を一から作り替える大作業です。計画はできあがり、住民合意もでき、用地買収も進んでいます。まもなく、山を削り、低地を土盛りし、住宅が建ち始めます。気仙沼市でも、土地のかさ上げ工事が始まっていました。港にはたくさんの漁船が入っています。水揚げも回復しました。南三陸町では、復興事業で建てた加工施設で、たくさんの作業員が牡蛎を剥いておられました。
とかく「遅い」と批判されますが、着実に事業は進んでいます。これまでは、計画づくり、住民合意取り付け、用地買収といった「準備行為」で、現地での工事が見えない作業でした。これが進むと、今年は、各地でブルドーザーが動き、家が建って、復興が目に見えると予想されます。
もちろん、まだまだ準備が必要な地区もあり、工事を始めると、埋蔵文化財が出てきたとか資材が足らないとか、問題も出てくるでしょう。
マスコミの皆さんには、「ここが進んだ」「ここは復旧が進んだが、この点が問題だ」というように、進んだところも報道してほしいです。そして、課題があったら、どこが悪いのか。それを指摘していただければ、私たちが解決に乗り出します。