年末恒例の苦しみ

冬至が過ぎ、クリスマスイブです。東京は天気は良かったですが、寒かったです。雪が多いところもあるようで、被害が出ないことを祈ります。
運動不足解消に、近くの川縁を散歩しました。イチョウ、サクラ、そしてモミジも、ほぼすべて葉を落としました。一方、ウメなどは、花芽を膨らませつつあります。近くのケーキ屋さんは、クリスマスケーキを求める人で、賑わっていました。
年末恒例の苦しみ、年賀状書きは、少しずつ進んでいます。でも、相手の顔を思い出したりして、はかどらず。集中力が続かず、読みかけの本に手を出したり、散歩に行ったり。本屋に寄っては、たぶん読まないであろう本を買ってみたり。なかなか、進みませんねえ。

国際秩序をつくる

細谷雄一著『国際秩序―18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ』(2012年、中公新書)が、勉強になりました。18世紀から現在までの国際関係を、「国際秩序」がどう変化してきたかという観点から分析しています。これまた、新書とは思えない重い内容です。
先生は、列強間の「均衡」「協調」「共同体」という3つの原理でこの間の歴史を説明し、ほぼこの順に進んできた、関係者が進めてきたと、主張されます。もっとも、均衡のない協調や共同体は不安定であることも、指摘しておられます。切れ味の良い分析で、なるほどと思います。もちろん、簡潔な原理で分析すると、いくつも例外が出てきます。それは仕方のないことでしょう。
多くの封建領主たちがいた中世から、主権国家が統一される際には、力による統一がほとんどでした。日本にあっても、戦国の群雄割拠を統一したのは、信長と秀吉の武力による軍事統一でした。現在の国際社会は、200近い主権国家によってなりたっています。言ってみれば、天下統一前の群雄割拠状態です。武力でなく、この主権国家間の平和を維持し、さらに「統合」を進めるにはどうしたらよいか。これが、現代の国際政治の課題です。国際連盟や国際連合を作ったら、戦争はなくなるか。なくなりませんでした。
しかし、ヨーロッパ共同体の試みや、各種の国際機関や組織、そして国際的な取り決めが、戦争を防ぎ統合を進めています。これは、国家間の政治家による、政治的な意図的な統合です。
他方で、経済や文化のグローバル化が、それら政治家の意図とは別に、社会・経済そして市民レベルでの相互依存と統合を進めています。相互依存が進むことで、国際社会から背を向けては、やっていけないのです。市場経済や国際金融市場から脱退しては、その国の経済発展はありません。インターネットから外れたら、科学技術の発展から取り残されます。
1929年の大恐慌時と、2008年の世界金融危機時の違いが、象徴的です。前者では主要国が囲い込みに入り、不況をさらに深刻化させました。後者では、中国を含めて世界各国が協調して、危機を乗り越えました。
ところで中国は、今や巨額のアメリカ国債を保有しています。売りに出せば、アメリカ国債が暴落し、アメリカに大きな打撃を与えることができます。しかし、それをすると、中国が持っているアメリカ国債が減価することでもあり、容易には売り出すことはできません。そのほか、あるモノの輸出を止めることは、相手国への脅威になりますが、自国の産業にも打撃を与えます。一時的には相手を困らせても、相互依存は武器として使いにくいのです。
軍事力による政府間の均衡から、経済などによる非政府主体も含めた協調関係への変化です。それは政治を、国家間の力(パワー)としてみる見方から、金融・経済などのつながりと場としてみる見方への転換でもあります。コヘイン、ナイ著『パワーと相互依存』(邦訳2012年、ミネルヴァ書房)が、古典的書物です。
私は、さらに経済や文化の統合が進み、戦争のできない国際秩序ができると考えています。もちろん、そんなに平坦な道のりではないでしょう。軍事力を増強し、圧力をかける国がいることも事実です。他国を占領するためでなく、国内対策のために対外硬に出てくる国もあります。それぞれの国で、民主化と自由主義が進まないと、国際的統合は進みません。

粗大ゴミの処分

先日、粗大ゴミを処分しました。まず、パソコンです。6月にパソコンを入れ替えたのですが、古いパソコンを捨てずに置いてありました。また、娘が置いていったパソコンも、故障したので捨てることにしました。さらに、使っていない携帯パソコンも。
パソコンとディスプレイは、ご承知のように、自主回収・リサイクルが義務づけられたので、ゴミとして出すことができません。新聞に入っていたチラシの業者に、引き取ってもらいました。1個千円なので、合計5千円。インターネットで調べたら、無料回収してくれる業者もあるのですね。
乗らなくなった自転車(2台あるうちの1台)、プリンター、ビデオデッキは、区の粗大ゴミ回収に出しました。自転車は600円、プリンターとビデオデッキは、それぞれ300円でした。すっきりしました。
ほしいものは金を払って買ってくるのに、要らなくなったモノを捨てるのに金をかけるのは、なかなか気が進みません。動脈産業と静脈産業ともに、重要なのですが。細田衛士著『グッズとバッズの経済学』(第2版、2012年、東洋経済新報社)が、良い教科書です。

米英の論壇に挑む努力

12月21日、読売新聞解説欄「日本の対外発信」、赤坂清隆フォーリン・プレスセンター理事長、元国連事務次長(広報担当)の発言。
・・今の世界の論調を支配しているメディアは、米国の二ユーヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙やCNN放送、英国のBBC放送やエコノミスト誌などであるという点だ。米国の外交専門誌フォーリン・アフェアーズも影響力がある・・
日本の発言力を強めるには、国内からの発信だけなく、こうした有力メディアに日本人の意見や主張がもっと載るようにすることが重要だ。だかそれができる人材は本当に少ない。例えば、この20年でフォーリン・アフェアーズに論文が載ったのは山崎正和氏、榊原英資氏、船橋洋一氏など数えるほどしかいない。
日本の文系の学者は何をしているのかとも思う。日本語で立派な論文を書き、高度な議論をしているが、国際的な影響力を強める努力が不十分ではないのか。理系の学者は世界の土俵で戦っているのに、文系の学者は「ガラパゴス化」しているように感じる。もっと世界にメッセージを発してほしい。言葉の壁は大きいが、あらゆる分野でそんな人材を育てるべきだ・・

私は、「日本語という非関税障壁に守られた世界」と呼んでいます。国内では評価されている(されていた)が、世界ではそうでもない。新聞、官僚、法学部などが、それに当たるでしょう。日本は、エリートが英語ニュースを読まなくてもすむ国、医学教育や大学院教育を英米独露でない自国語でまかなえる数少ない国です。これは、誇るべきことです。幕末以来150年間、欧米の学問と制度を輸入してきた成果です。
しかし、世界のトップグループに入ったとき、「翻訳と国内での消化」は、終わるべきでした。アジアの国々が経済発展で追いかけてきたとき、グローバル化が進んだときに、情報の輸入だけの一方通行では、世界で伍していけません。発展途上国の発想を、転換すべきだったのです。目標を達した際に、次の目標を設定することに失敗した。勝者のおごりでしょう。
産業界は世界に打って出、理系はノーベル賞を代表に世界で戦っています。文系が、いまだに鎖国・輸入状態なのです。
新聞、官僚、法学部は、アジアにもっと貢献できると思います。欧米に留学させるだけでなく、アジアから留学生や研修生を受け入れるとか。アジア各国に助言にいくとか。何か仕組みを作る必要がありますね。「アジア貢献庁」を作るのはどうでしょうか。良いアイデアは、ありませんかね。
(自らの反省を込めて言えば、私の若い頃は、田舎では、東京がゴールで、東大を出て官僚になるのが一つの目標でした。今は、東京や官僚はゴールではありません。)

福島出張

21日22日と、福島県に出張に行ってきました。福島市や郡山市は雪がありませんでしたが、会津若松市では野山に雪が積もっていました。今年は、雪が少ないとのことです。
原発事故避難者は、2年目の冬を迎えています。原発のあった双葉郡は太平洋沿い「浜通り」で、雪が積もりません。そのふるさとを離れて、雪の多い会津地方での避難生活はつらいと思います。そして、狭い仮設住宅です。帰還できる地域のインフラ復旧などを進めるとともに、当分帰還できない地域の方には、公営住宅を造って住んでもらいます。その予定地なども、見てきました。
今年はこれで、合計46日出張しました。昨年は9か月間で58日でしたから、減りましたね。岩手・宮城の津波被害地区は別の職員にお願いして、私は主に福島県を回っています。