金券による被災者住宅提供

8月3日の日経新聞経済教室に、山崎福寿日大教授が「災害に強い都市再生に向けて、開発規制の不利益補償を」を書いておられました。ここで紹介するのは、その前段に書かれていた、震災の際の住宅提供についてです。
東日本大震災では、仮設住宅を作る一方で、民間の賃貸住宅を借り上げて提供しました。仮設住宅4万9千戸に対し、民間借り上げ住宅は6万8千戸。このほかに、公営住宅(空き部屋)も1万9千戸提供しています(資料p3)。
民間住宅借り上げは、早く提供できる、住み心地も良い、便利なところにあるなど、仮設住宅を作るよりメリットも多いのです。一方、被災者が散らばるので、その把握と孤立防止が、課題になります。
山崎教授は、民間賃貸住宅を活用すべきとして、その際に、避難者にバウチャー(金券)を交付する仕組みを提言しておられます。民間賃貸住宅を提供する際には、いくつか問題があります。広さや家賃がばらばらで、不公平が生じること。行政が住宅を見つけて提供するのか、本人が見つけてきて申請するのかなどです。
先生の提言だと、家族の人数に応じて金券を渡すので、これらの問題が解決できます。金券(基準)より広い・高い住宅に入りたい人は、不足分を自己負担すれば良いのです。もちろん、民間住宅がない地区もあり、仮設住宅との併用になるでしょう。他に問題がないかを含め、検討すべき提言だと思います。

政府は信用できない組織?

古くなって恐縮です。7月21日の朝日新聞オピニオン欄で、小浮正典さん(PR会社経営)が、次のようなことを指摘しておられました。
・・福島県産品の消費回復の足取りが重い。放射性物質の検査が強化され、市場に流通する商品については、消費者が心配すべき状況は一応、脱しているはずなのに、思うように売れないのは、いくら「安全」だといわれても、「安心」でないからだ。「安全」は科学的な根拠に基づく客観的な事実であるのに対し、「安心」は情報の受け手が理解し、納得した主観だ。要は、「安全」と「安心」が乖離しているのである。
困ったことに、福島県産品のブランド回復に向けて、政府がいま何をやっても効果は期待薄だ。問題の発端である東京電力福島第一原発事故、それに続く放射性物質に関する政府の情報の混乱こそが、「安全」と「安心」の乖離をもたらした元凶だからだ。消費者にとって、政府は理解も信用もできない組織になっている・・

所有者規制か運営規制か

7月30日から8月3日まで、日経新聞夕刊「人間発見」は、山口洋さんでした。山口さんが社長を務める(株)JPホールディングスは、保育を主たる事業とする会社で、ジャパンポスト(日本郵政)ではありません。保育所など160施設を運営しています。
かつて保育園は、市町村の直営か社会福祉法人だけに限られていました。2000年に規制緩和され、株式会社も保育所を運営できるようになりました。もっとも、「慣習」の壁は厚く、2万3千ある保育所のうち、株式会社の運営するものは、まだ1%だそうです。
・・「うちは株式会社をお断りしています」。保育所を開設しようと自治体の担当窓口を訪ねても、そう言われることがいまだにあります・・「利益優先でコストを削り、保育の質が悪くなる」と真顔で力説する方もいます。冷静に考えれば、矛盾に満ちた主張です。認可を得るには保育士の人数などいくつもの基準順守が求められます。誰が運営しようと質は守られる仕組みです・・
・・保育は通常夕方までですが、残業などで遅くなる保護者のために、夜8~9時まで延長保育をしています。子どもはおなかがすきますので、夕食を出していました。すると、ある自治体の担当者から、注文が付きました。「食事ではなく、おやつ程度にしてください」。夕食は親と食卓で囲むもの。保育所で食べてしまうと、その機会が失われるという理由です。
でも、ひもじいも思いをさせては、かわいそうです。そう詰め寄ると、本音を明かしました。地域の他の保育所は延長保育でもおやつ程度しか出しておらず、うちだけが夕食を出すと、その園に保護者から苦情が出る恐れがあるというのです・・行政も事業者も、どこを向いて保育をしているのかと姿勢を疑いました・・

いろんなところに、「消費者ではなく、内輪を向いたムラ」があります。ムラをなくす一つの手法が、競争です。そのために、規制緩和をして参入をしやすくします。もちろん、守るべき基準を定め、厳しく監視する必要があります。
話が広がりますが、かつて空港などの運営主体を緩和する際に、所有者が問題になりました。昔は、公共空港は国か自治体の直営でしたが、株式会社も可能にしました。中部国際空港や関西国際空港がそれです。さらなる規制緩和を議論した際に、「その会社を、外資が買ったらどうするか」が議論になりました。
空港に限らず、電力やガス、通信などの公共インフラを運営する会社の株が外国資本に買われ、経営を支配されては困る事態が出ることも予想されます。その際の議論は、誰が所有してもサービスの提供を義務づけること(運営規制)と、どうしても外資を排除するならば株式の一定割合を国またはそれに準ずる者が保有すること(所有者規制)の二つがあるということでした。

ゴミと資源の分類

今朝は、近くのスーパーの店先まで、牛乳パックとペットボトルキャップを回収箱まで入れに行きました。そのホームページによると、13店舗で年間牛乳パックを48トンも回収しているのです。
先日、「地元のゴミ分別状況」(7月22日)を書きました。杉並区の資料によると、年々資源回収量が増え、ゴミが減っています。特に近年、ペットボトルとプラスチック包装の回収を開始したので、不燃ゴミが激減しています。平成19年度の2万3千トンから、20年度の5千トンへと。
日本のゴミの分別は、世界一の水準だと聞きました。ちなみに、区のホームページには、様々なゴミの分け方と捨て方が載っています。確かに、このような「指南書」が必要ですね。学校では教えてくれない、移住者がわからない暮らしのルールです。明治時代の日本人が現代に来たら、とまどうでしょう。便利になった産業社会に必要なルールです。

今週も終わり

今日は金曜日。今週も、いろいろな事件があり、たくさんの課題を片付け、いくつか次への手を打ちました。なかなか、ゆっくりとは、させてもらえませんね。もちろん、被災地や避難先で苦労をしておられる方に比べれば、私の苦労など、物の数ではありません。そして、去年の今頃に比べれば、かなり落ち着いた生活をしています。