月刊『地方財務』2012年8月号(ぎょうせい)に、黒田武一郎・総務省財政課長(現・審議官)が、「特別交付税の機能についての考察―東日本大震災に係る対応を中心として―」を書いておられます。55ページにわたる大論文です。
地方交付税の解説というと、多くは普通交付税について書かれています。この論文では、とかく忘れられがちな特別交付税の機能について書かれたものです。
さらに、今回の東日本大震災に際しては、これまでにない対応を、いくつもしてもらいました。通常なら基礎数値の報告を待ってから算定するものを、それを待たずに行ったこと(町役場が流された町は、それどころではなかったです)。災害復旧の場合は、地方債でひとまず手当てして、その元利償還金を後に交付税で措置するものを、現ナマの交付税で手当てしたこと。国庫補助事業の地方負担分をほぼすべて手当てしたこと(被災地では自己財源がありません)。東京都にも配ったこと(これは制度ができて以来、初めてのはずです)。単年度でなく、複数年度を考慮した配分にしたことなど。
担当課長として、その際の考え方を整理した論文です。後世に残るものでしょう。ありがとう。
「とかく官僚や行政は、前例通りで融通が利かない」と批判されますが、これを見ていただくと、そうでないことがわかってもらえます。このような大胆で臨機応変な措置をしていただいた総務省と財務省に、感謝します。でも、マスコミって、こんなことは書いてくれないのですよね。