8月3日の日経新聞経済教室に、山崎福寿日大教授が「災害に強い都市再生に向けて、開発規制の不利益補償を」を書いておられました。ここで紹介するのは、その前段に書かれていた、震災の際の住宅提供についてです。
東日本大震災では、仮設住宅を作る一方で、民間の賃貸住宅を借り上げて提供しました。仮設住宅4万9千戸に対し、民間借り上げ住宅は6万8千戸。このほかに、公営住宅(空き部屋)も1万9千戸提供しています(資料p3)。
民間住宅借り上げは、早く提供できる、住み心地も良い、便利なところにあるなど、仮設住宅を作るよりメリットも多いのです。一方、被災者が散らばるので、その把握と孤立防止が、課題になります。
山崎教授は、民間賃貸住宅を活用すべきとして、その際に、避難者にバウチャー(金券)を交付する仕組みを提言しておられます。民間賃貸住宅を提供する際には、いくつか問題があります。広さや家賃がばらばらで、不公平が生じること。行政が住宅を見つけて提供するのか、本人が見つけてきて申請するのかなどです。
先生の提言だと、家族の人数に応じて金券を渡すので、これらの問題が解決できます。金券(基準)より広い・高い住宅に入りたい人は、不足分を自己負担すれば良いのです。もちろん、民間住宅がない地区もあり、仮設住宅との併用になるでしょう。他に問題がないかを含め、検討すべき提言だと思います。