誤りをわびる

岩波書店のPR誌『図書』6月号の宮下志朗さんの文章に教えられ、河野与一著『学問の曲がり角』(新編2000年、岩波文庫)で、次の文章を探しました。
出版物についている正誤表についてです。印刷術発明以前には、正誤表はなく、手書き本では、間違ったら訂正していたのです。印刷本も最初は一部ずつ、間違っていたか所をペンで直していました。そのうちに、いい加減な印刷が増え、訂正の費用もかさみ、本も汚くなるので、誰かが正誤表を付けることを考えました。
1478年に、ヴェネツィアで印刷された本についている正誤表に、次の文句が書かれています。
「読者よ、職工の不注意から来た誤植を、お怒りにならないように。我々もそう始終注意ばかりしているわけには行きません。すっかり見直して、これだけ訂正したところを買って下さい。」

良いですねえ、このおわびは。「二度と起こらないように注意します」というのが、おわびの定番ですが。人間とは間違う動物である・・。毎日の仕事では、いろんな失敗が起きます。それを全てなくそうとすると、たいへんな労力と時間が必要になります。「8対2の法則」によれば、8割の完成度に達した後、残りの2割を達成するには、同じくらいの労力が必要になります。
もちろん、二度と起こしてはいけない間違いもあります。