23年度復旧予算の執行状況

今日、平成23年度の復旧・復興関係予算の年度末での執行状況を、公表しました。
予算総額は、14.9兆円。これは、何度かの補正予算を積み上げたものです。そのうち支出済み額は、9.1兆円。これは、国庫から支出された額です。すなわち、中には地方自治体に支出されたけれども、自治体から業者へ支払われていないものも含まれている可能性があります。
差し引き5.8兆円のうち、翌年度に繰り越された額(翌年度に使うことが決まっているもの)が4.8兆円。残りの1.1兆円が不要額です。

通常の予算なら、多額の不要額が出ると、お叱りを受けます。「もっと正確な見積もりをすべきだった」とか「なぜ、付けた予算が使われなかったのか」というようにです。しかし、今回はお叱りを受けないと思います。
復旧予算は年度途中で、急いで積算して計上しました。自治体などに安心して復旧事業をしてもらうために、急ぐとともに細かい精密さを求めませんでした。そんな余裕もありませんでしたから。「予算が足らなくて、工事に着手できなかった」とか「積算をきっちりしていたので、事業着手が遅れた」という方が怖かったのです。
不要額は、国庫に戻されます。まだ、復旧・復興事業は始まったばかりです。これから、事業が追加され、また動き始めた事業も金額が正確になっていきます。息の長い仕事です。
そして、繰り返しになりますが、復興はいくら予算を使ったとか、いくら余ったとかではなく、現地での復旧状況で評価されるべきものです。

パソコン入れ替え

明日、パソコンを入れ替えます。と書けば簡単ですが、このホームページのデータや、電子メールのうち保存するものなどを、移す必要があります。大変な作業です。もちろん、私の手には負えないので、専門家に来てもらいます。
もし、うまく行かなかったら、明日から、このページは更新されなくなります。「あれ、更新されないなあ」と思ったら、このような事情です。予告しておきます。

復興指標

先日紹介した「復興状況の把握手法」の全体を、HPに載せました。これは、いわゆる「復興指標」です。
私たちの仕事は、被災地の復旧復興と被災者の生活再建が目標です。現地がどれだけ復旧したか、被災者の生活がどれだけ再建されたかによって、評価されます。いくら予算を使ったと言っても、法律改正をしたと自慢しても、現地で成果を上げないと意味がありません。
「これだけ資金を配りました」「これだけ制度改正をしました」は一つの指標ですが、それでは十全ではありません。インプットではなく、アウトカム指標が重要なのです。
今回お示しした指標は、そのような観点から作ってあります。また、抽象的なものではなく、現地で把握できるものとしました。
もちろん、これら以外にも、様々な指標や把握手法があります。多くの研究者や学会が、調査に入っています。それぞれ有意義なので、目的に応じて、活用するのだと思います。

政党の機能不全

朝日新聞6月26日オピニオン欄は、佐々木毅学習院大学教授へのインタビュー「決められない政治の責任。政党の機能不全は政治家の努力不足その一言につきる」でした。
「一連の政治改革が、小選挙区制導入、2大政党化、政権交代と進んで約20年。民主党政権は混迷が続き、いまは「決められない政治」と言われています」という問いに対して。
「大きな混迷は2度あったと思います。ひとつは1990年代後半、野党が次々とできては消える状態があって新進党の解党に至った。2度目は小泉純一郎首相が退陣した後の自民党の混迷です。共通しているのは、政党が組織として機能していないこと。政治改革では、政治家個人から政党中心の政治に変えようとした。政治資金、選挙制度の改革を進めましたが、その間、政党は改革されなかった。政党をどう経営するのか、政治家が努力しなかった。一言で言えばこれにつきる」

「政党を鍛え直すには何が必要ですか」という問に対しては。
「政党の商品は政策と人。この2つをどうするかが、出発点となる。政策は、これに関わる人材をどれだけ集められるかでしょう・・
人については、適材適所。だれが首相や閣僚にふさわしいか、国会向きはだれか。人の選抜、登用のルールが必要です・・党の幹部が、君は閣僚向き、あなたは国会対策向きといった仕切りをして、人材を活用していく。企業でいうガバナンス(統治)が政党にも欠かせない・・」

政党での人事は、難しいですね。役所にしろ会社にしろ、多くの組織は、大臣や社長を頂点とする、人事と権限の階層制(ヒエラルヒー)が決められています。部下は、上司の命令に従うのです。しかし、政党の場合は、党員が党首を選びます。党員に不満がある場合は、党首をすげ替えることができるのです。
付け加えるなら、このほかに、政党の組織としての意思決定ルールを明確にすることが必要だと思います。それは明文でも、慣習でも良いのですが。意思決定ルールが不明確な政党は、党員もまたそれ関わる関係者にも、困ったことが起きます。