家族に捧げる

三浦展さんの著作に触発され、いつか読みたいと思っていたので、藤岡和賀夫著『ディスカバー・ジャパン』(1987年、PHP研究所)を読みました。インターネットで中古品を探してもありませんが、区立図書館を調べたらありました。ありがたいですね。
藤岡さんは、電通の有名な広告プロデューサーで、「ディスカバー・ジャパン」「モーレツからビューティフルへ」「いい日旅立ち」などで有名です。1970年、80年代のことなので、若い人たちは、ご存じないかもしれません。
さて、今日紹介するのは、その内容ではなく、本の最初に書いてある「献辞」です。広告を志す人たちといった後輩にこの本を捧げると書いた後に、次のような言葉が並んでいます。

・・妻 奈美子へ
君が一人の子を家におき
一人を背負い一人の手をひき
一人を幼稚園に迎えに行った頃
私はこんな仕事をしていた・・

この本は、藤岡さんの仕事を振り返るものです。60歳になられて、ご自身の仕事を集大成されました。その時の、ご家族への感謝のお気持ちだと思います。私の場合は、家族へのお詫びになります。

復興支援ファンド

企業や民間は、さまざまな形で、復興を支援しています。その一つに、お金を集めてあるいはお金を出して、復興にかかわる事業を支援するものがあります。「民間復興ファンド」と呼ばれるものです。ファンドとは、一般的には投資信託のことをいいますが、復興関係では「多数の人から集めた資金で投資を行う集団投資スキーム」と解説した方がよいでしょう。
いくつもの形があるのですが、おおまかに分類すると、次のようになります。
①投資信託(本来の意味のファンド)
②集団投資スキーム(投資事業有限責任組合等)
③基金・財団
①②は、配当を受けつつ、出資したお金を第三者に売却して回収することを前提としています。金融機関が行っています。③は、補助や助成などのいわゆる寄付を行うものを指しています。主に、財団や基金が行っています。

まずユニークな例として、小口の資金を募って、地場産業への投資と支援を組み合わせたものを紹介します。
ミュージックセキュリティーズ「セキュリテ被災地応援ファンド」は、1口10,500円で出資を募り、5,000円は出資金(うまく行くと配当がもらえます)、5,000円は応援(寄付です)、500円は手数料です。そして自分が応援したい企業を選びます。特典として、商品などがもらえます。ぜひ、ご覧ください。

金融機関が被災地の企業を支援するものの例としては、次のようなものを挙げておきます。
日本政策投資銀行と七十七銀行「みやぎ復興ブリッジ投資事業有限責任組合
野村證券「東日本復興支援債券ファンド1105

財団が支援するものとしては、
ヤマト福祉財団(クロネコヤマト)「東日本大震災 生活・産業基盤復興再生募金」=被災地の生活基盤の復興と水産業・農業等の再生支援を目的に活動している公的な団体や基金などに寄附・助成を行います。
三菱商事「三菱商事復興支援財団」=被災地の復旧・復興支援に携わるNPOやNGOなどの団体の活動をサポートするために助成金を交付します。
まだまだたくさんあるのですが、今日はこれだけにします。事例を集めてくれた職員に感謝します。

復興推進委員会の現地調査

昨日と今日(15、16日)と、復興推進委員の方々のお供をして、宮城県・岩手県の現地調査に行っていきました。推進委員会は、いわば「復興庁のお目付役」です。「どこが進んでいないか、どこに問題があるか」を、第三者の目で、見ていただきます。私たちにとっては、「怖い存在」です。
しかし、政府や自治体が独りよがりにならないためにも、他方で、現場を見ない情緒的な批判ではないように、この委員会の存在は重要だと考えています。委員の方々の指摘は、私たちにとって、有意義な要素です。今回も、耳に痛いことをいくつも指摘いただきました。順次、お答えしていきます。

私は最近、福島県への対応が多く、岩手県と宮城県への視察は久しぶりでした。「変わったなあ」と思うところと、「まだ進んでいないなあ」と思うところがありました。そして「こんな課題も出ている」「こんな試みもでているのだ」と思うこともありました。
私たちの仕事は、「これだけのことをしました」で満足してはだめで、「これだけのことが現地で実現しました」ということで評価しなければなりません。難しいことです。
途中のバスから見る山々の新緑は、それはきれいでした。八重桜が残り、田植えが始まり。昨年この時期に訪れた時のことを思い出しながら、いろいろと考えました。

進む産業の回復

被災地でも、産業の復旧が進んでいます。まず、被災地の鉱工業生産です。経産省の試算では、3月の速報値で、全国が95.3、被災地が99.3になっています(平成17年を100として)。被災地の方が、良くなっています。
福島県の2月の鉱工業生産指数は3か月連続して上昇し、91.5です。2月の全国の指数は94.4です。
福島県では、産業復興企業立地補助金の指定企業を発表しましたが、これも好調のようです。
このように、産業は回復しつつあります。マスコミは、あまり取り上げてくれませんねえ。「復興は進んでいない」という記事の方が、「売れる」のでしょうか。「進んでいないところはここ。これは進んでいる」というように、自信になる明るいことも、伝えて欲しいですね。