先日22日の「弱み」に対して、今日は、日本的経営の「強み」を。3月19日の読売新聞「一家言」、小池和男法政大学名誉教授の発言から。
・・日本の貿易収支が赤字となり、「ものづくり大国」の将来に不安が持たれているが、私はそれほど心配していない。
高賃金の先進国の企業が海外に工場を移していくのは自然な流れで、イギリスなどの欧米企業は、海外直接投資を増やし、海外に工場を建設したりサービスを展開したりして、そこで稼いだお金を国内に環流している。日本も海外での稼ぎを国内に持ち込み、国内経済を支えていくしかない・・
工場が海外移転しても、現地に技能を伝える日本人は必要になるから、全ての工場や店舗が海外に移ることにはならない。むしろ外国人を指導できる日本人人材の需要は、これからますます増すだろう。
問題は日本企業が海外で他国企業に勝てるかどうかだが、日本企業には強みがある。「職場の中堅層」を生かす現場が、海外工場でも実現していることだ。日本企業には、非エリートの「庶民」からなる職場の中堅層が積極的に発言し、生産工程を改善したり、商品の形状を変更したりして、高品質を作り出していく伝統がある・・欧米企業は、日本企業ほど現地の「庶民」を活用できていない。
ただし、「発言できる」だけの技能のある中堅層を育てるには、長い時間が要る・・グローバル化が進んでも、現在の金融資本主義のように短期的収益に振り回されるのではなく、産業やサービスの長期低な発展を重視する経済社会の構築が求められる・・